MGS小説

□act.14 「無」
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スネーク「おい、ちょっと来てくれないか?」

看守「どうしたんだ?」

スネークは警戒心を抱かずに近付いてきた看守を看守失格だと思いながら計画を実行した。

スネーク「少し話をしないか?」

スネークは煙草を取り出し、自分がくわえてから看守に一本差し出した。

看守「お、良いのか?悪いな。」

煙草を受け取ろうと看守が近付いてきた時

シュウゥッ

スネークの煙草から麻酔ガスが発射された。

看守「うっ…。」

バタンッ

スネークは寝ている看守の体を手繰り寄せ、鍵を取って扉を開けた。

そして看守室に置いてあった自分の装備を取り戻し、中身を確認した。

スネーク「?」

スネークの装備の中に箱のような物が入っていた。

スネーク「これは…爆弾!?」

スネークはそれをすぐに捨てた。

スネーク「オセロット、また奴の仕業か。」

スネークは看守室から外に出た所でオタコンにコールした。

スネーク「こちらスネーク。
今牢屋を脱出した。これよりゼロの所へ向かう。」

オタコン<スネーク、ゼロの居場所はわかるかい?

スネーク「いや、これから調べるが。」

オタコン<任せてくれ。君が捕まっている間、僕達も何もしなかった訳じゃない。
民家にあったパソコンからネットワークを介してその基地の軍事ネットワークにハッキングした。

スネーク<俺も手先が器用ならな…。
ゼロの居場所は?」

オタコン<そこから西に行った所にある建物の二階だ。
中央の建物から渡り廊下で行ける。

スネーク「了解した。」

オタコン<多分ゼロは敵側にとって重要な人物だろう。
警戒は強いと思うよ。
当然君が脱出したのが敵に知られたら、恐らくゼロと接触するのは不可能だ。
見つからずに頼むよ。

スネーク「わかってる。」

そう言ってスネークは無線を切り、中央の建物に向かった。





基地中央棟





スネーク(やはりおかしい。)

スネークは既に中央棟の二階にまで潜入していた。

なのにここに来るまで一人として兵士の姿がない。

スネーク(…罠…か?)

そう思いながらもスネークは西棟を目指した。





基地西棟に続く渡り廊下





スネーク「!!」

渡り廊下に来たスネークが見たものは既に気絶している兵士達だった。

スネーク「オタコン、ゼロを見張っていると思われる兵士達が既に倒されている。」

オタコン<本当かい!?
…スネーク、まさかとは思うけど前に基地に行った時にも兵士が倒されていたよね。
それと同じ手口じゃ…。」

スネーク「ああ、同じだ。
奴がいるかもしれん。」

オタコン<気をつけてくれスネーク。
彼はまだ味方かどうか判らないんだ。

スネーク「…。」

スネークは無言で返事をした後、西棟へ入っていった。





基地西棟





西棟に入って目の前にある扉を覗くと中に初老の男性がこちらに背を向け、椅子に座っていた。

スネークは静かに扉を開け、部屋の中に入った。

スネーク「…あんたがゼロか?」

男はゆっくりと振り返りスネークを見た。

その落ち着きから男の器の大きさがはっきりとスネークには分かった。

ゼロ「…そうだ、初めて会ったな、スネーク。」

スネーク「…何故そんなに冷静でいられる。
目の前の男が自分を殺すかもしれないんだぞ。」

ゼロ「スネーク、君が私を殺さないくらい分かってる。」

スネーク「…何故だ?」

ゼロ「眼だよ。君の眼を見ればわかる。」

スネークは溜め息をつき、部屋の隅々まで確認し他に誰も居ないか確かめた。

ゼロ「安心しろ、ここには私しかいない。」

スネーク「俺の前に会いに来た奴はいるか?」

スネークはゼロの正面に立ち、そう聞いた。

ゼロ「GRUのヴォルギンとオセロットが来た。色々質問されたよ。」

スネーク「何を聞かれた。」

ゼロは立ち上がり、スネークと向かいあった。

ゼロ「色々だ。
一番しつこく聞かれたのは…。」











「BIGBOSSの居場所」










スネーク「居場所がわかるのか?」

ゼロ「いや、私は知らない。」

スネーク「この基地に来る前、ビッグボスから通信が入った。
この基地に居るんじゃないのか?」

ゼロ「私は気がついた時には既にこの部屋にいた。
だからもしBIGBOSSがここにいたとしても私にはわからない。」

スネーク「…そうか。」

ゼロ「スネーク、君に話しておかなければならない事がある。」

ゼロは顔を険しくさせてスネークに言った。

ゼロ「実はこの島はただの島じゃない。
海に浮いている、浮島だ。
そして普通ではこんなに巨大な浮島は有り得ない。」

スネーク「…この島は人工物というわけか。
地図に載らない理由がわかった。」

ゼロ「私が愛国者達の創立者だと言うことは既に知っているだろう。
この島を造ったのは、私達だ。」

スネーク「何だと?
じゃあこの島の基地も愛国者達が造ったのか?」

ゼロは椅子に腰掛け、首を振った。

ゼロ「この島の外側を造ったのは私達ではない、別の人間だ。」

スネーク「ならば愛国者達が造ったのはエルザが言っていた、この基地の地下の核兵器か?」

ゼロ「彼女に会ったのか?
いや、会えなければ君はここまで来れなかったか。」

スネーク「…どういう事だ?」

ゼロ「彼女に君の脱出の手助けをするように言ったのは私だ。
…その前から彼女は助けるつもりだったらしいが。
ならばと彼女に煙草型麻酔銃を持たせたのだ。」

スネーク「…なるほど。
おかげで助かった。」

ゼロ「礼はいい。…話を戻そう。
スネークのいった通り、この地下の核兵器は我々が造った。」

スネーク「だがこれだけ巨大な物が造られたなら、誰かが気付くはずじゃないか。
飛行機や衛星に発見されるだろう。」

ゼロ「確かにこの島が海上に「あったなら」誰かが、いや誰しもが気付くだろう。
だが誰も気付かなかった。
この島は海上に「なかった」のだ。」

スネーク「つまり海に沈んでいた。」

ゼロ「ご名答だスネーク。
この島はJ・Dの制御下にあり海底に沈んでいた。
だが先日スネーク達の働きによってJ・Dが失われた。
それによってこいつが浮上したのだ。」

スネーク「ソリダスはこの島は「想いの集う島」だと言っていた。
それはどういう意味だ。」

ゼロは少し笑って言った。

ゼロ「なるほど。
「想いの集う島」か。
確かに色々な想いが集まって出来た島だな。
いや……島という呼び方はもうやめよう。
この島は愛国者達が造った………。」




















「…メタルギアだ。」
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