MGS小説

□act.17 「エヴァ」
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エヴァ「スネーク!…無事で良かった…。」

スネーク「どうやら心配をかけたようだ、すまない。」

キャンベル「スネーク、何故一人で基地に行ったりしたんだ。」

キャンベルはエヴァを制して聞いた。

スネーク「大佐…あの時の言葉を覚えているか?」

キャンベル「あの時…というと?」

スネーク「俺がビッグボスを斃した時に言われた言葉だ。」

キャンベル「…あれか…。」

スネークは煙草を一口吸ってから話を続ける。

スネーク「ビッグボスから通信が来てその言葉を言われた。そうしたらもう何も考えられなくなり、気がつけば駈け出していた。」

キャンベル「…スネーク。」

スネーク「どうやら俺はまだあの言葉を克服出来ていないらしい。」

オタコン「でも…。」

スネーク「確かにあの言葉は外れてはいない。…現に俺は戦場から解放されたかと思えばまたこうして戦場に戻ってきている。」

エヴァ「…今はそんな事はいいの、戻ってきてくれて嬉しいわ。」

スネーク「ああ、だが一つ気になる事がある。」

オタコン「何だい?」

スネーク「俺は基地に行って確かにビッグボスに会った。…だが奴の反応には引っかかる点がある。」

キャンベル「引っかかるってのは?」

スネーク「あまりにも不自然すぎる。最初はビッグボスに仕組まれた罠だと思った。だが奴は俺を助けた。」

オタコン「こちらとしても映像は無いけど音声だけは傍受してた。…確かに変だったね、あれではまるで…。」

スネークは煙草を灰皿に捨ててから口を開いた。

スネーク「ああ、まるで俺に無線なんかしていない様な感じがした。」

エヴァ「誰かに嵌められた?」

スネーク「だがあの時の無線の声は確かにビッグボスだった。」

オタコン「当時の通信記録が残ってればの話だけど…ビッグボスは表向きにも裏向きにもかなりの有名人だ。音声はどこからでも拾って来れるし、それこそ通信記録が残ってればそれを引用する事も出来る。」

スネーク「ビッグボスではない誰かが俺を基地におびき寄せた?」

キャンベル「だが誰が?」

オタコン「それは解らない、憶測の域を出ない話だからね。」

全員が沈黙した時に不意にエヴァが切り出した。

エヴァ「とりあえずここを離れましょう、大分基地から遠いとはいえまだ危険だわ。」

キャンベル「そうだな。皆、トラックに乗れ!すぐにここを離れるぞ。」




トラック荷台




エヴァ「そういえばスネーク?」

スネーク「何だ?」

エヴァ「基地からの脱出はオセロットとしたのよね。」

スネークはトラックの中で基地内であった事を大まかに説明していた。

スネーク「それがどうかしたか?」

エヴァ「…ふふっ。」

スネーク「何だ、いきなり笑ったりして。」

エヴァ「いえ、そんなところまで一緒なのね、と思って。」

スネーク「何の話だ?」

エヴァ「い〜え?、ふふふっ。」

スネーク「?」

エヴァが笑っているのを見てスネークは首をかしげた。

だがエヴァは急に笑いを止めて真剣な面持ちになった。

エヴァ「スネーク、いくらなんでも似すぎてるわ。」

スネーク「…。」

エヴァ「1964年に施行されたミッション、あのビッグボスがビッグボスと呼ばれるようになった任務。」

スネーク「…スネークイーター作戦…。」

エヴァ「ええ、あまりにも酷似している。シャゴホッドと言いバイクでの脱出と言い、これは似すぎだわ。」

スネーク「確かに似すぎている。だが何故だ?」

エヴァ「それはわからない。…でも当時の任務をかなり知ってる奴が裏で糸を引いてるのは確かよ。」

スネーク「ああ、だが今の情報だけでは見当もつかない。もっと情報を集めなくては。」

エヴァ「そうね、でも今回の件で大分前進したわ。」

スネーク「ビッグボス、ゼロ、グレイフォックスの存在、更にシャゴホッドにヴォルギン、そしてカニンガムにエルザ・ウルスラ。いくらなんでも死人が歩きすぎる。」

エヴァ「あら、そんなことを言ったら私もなんだけど?」

エヴァは若干上目づかいになりながら冗談まじりに聞いた

スネーク「確かにそうだな。ははっ。」

エヴァ「もう、スネークったら。」

そんな彼らを乗せトラックは森を進んでいった。




エヴァとスネークの会話は少なからず精神的にダメージを負ったスネークへの仲間としての配慮だったのか。

それともわが子を思う母親の母性愛だったのか。

それはまだわからない。

ただ言える事は、これからまだ苦難が待ち受けるであろうスネークに。

今だけでも元気づけようとするエヴァの気持ちが。

スネークに届いたということである。

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