MGS小説
□act.10 「裸の子供」
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スネーク「貴様は…リキッド!」
リキッド「そうだ、久しぶりだな兄弟。」
そこにはFA-MASを担いだリキッドが立っていた。
スネーク「…何故助けた。俺を殺したいんじゃなかったのか?」
リキッド「…スネーク、何故俺達が戦っていたか覚えているか?」
スネークは警戒しつつ、少し考えていった。
スネーク「…遺伝子の優劣のことか。」
リキッド「そうだ。俺はお前の方が優性遺伝子を受け継いだと思っていた。
俺の方が残った絞りカスであると。
だが、実際は違った。」
スネーク「何?」
リキッド「実際は俺が優性遺伝子を受け継いでいたんだ。」
スネーク「…それがどうした。」
リキッド「少しは考えたらどうだ。
…つまり俺達が戦う理由は無くなった、というわけだ。」
スネークはリキッドを睨みつけ、低い声で聞いた。
スネーク「なら何故カエル達をけしかけてきた?
お前の私兵だろう。」
するとリキッドは面食らったような顔をして言った。
リキッド「何の事だ?
カエルというのは今の奴らのことか?」
スネーク「とぼけるな。
カエル兵がお前の私兵だということは既に知っているんだ。」
リキッドは少し不機嫌そうな顔をした。
リキッド「悪いが本当に知らん。
人違いだ。」
スネークが言い返そうとしたときオタコンからコールがきた。
スネークはリキッドを睨め付けつつ、無線を入れた。
スネーク「オタコン!
こんな時になんだ?」
オタコン<スネーク、おかしいと思わないか?
リキッドは本当に知らないみたいだ。
スネーク「だが奴らはリキッドの私兵だっただろう。」
オタコン<よく考えてみてよスネーク。
カエル兵はリキッド・「スネーク」の私兵だったかい?
スネーク「あたりま……!」
スネークはあることに気付き、絶句した。
スネーク「…オタコン、まさか…。」
オタコン<そうだ。
カエル兵はリキッド・「オセロット」の私兵なんだよ!
スネーク「ならこいつらはオセロットが!?」
オタコン<わからない、…けど可能性は高いね。
スネーク「……。」
スネークは無線を切った。
リキッド「…疑惑は晴れたかな?」
スネーク「…ああ。
………聞いてなかったな。
何故俺を助けた。」
リキッドはゆっくりと空を仰ぎ、それからまたスネークを見て言った。
リキッド「兄弟を助けるのに理由が必要か?」
スネーク「!!」
リキッド「お前がまだ俺を敵と思っているならそれでも良い。
ただ俺にはもうお前と戦う気はない。」
スネーク「……。」
リキッド「…そうだな。
もし許されるのならば、お前と…。」
スネーク「…何だ?」
リキッド「ガキの頃に出来なかった事がしたいな。」
スネークはリキッドから目を逸らし、それを見たリキッドはスネークに背を向けた。
リキッド「じゃあな、兄弟。」
スネーク「待て!どこへ行く!?」
リキッド「兄貴は出来の悪い弟の為に色々やる事があるんだよ。
じゃあな。」
そういってリキッドは走り去ってしまった。
スネーク「……リキッド……スネーク……。」
スネークはリキッドの走り去った方をずっと見つめていた。