□嫌いなもの
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「あの方はあなたにとって人間的な『重み』を与える方だと思いますよ」

「はあ?小十郎が?…お前、随分あいつに入れ込んでんじゃねぇか」

「……私は客観的に思ったことを述べたまで。むしろ私はあの方が大嫌いですよ」

「はあ?お前ってワケ分かんねぇな」

「…全て…言わなければ分かりませんか?」

「単純にお前が小十郎のこと一目置いてんのかと…」

「……鈍感もここまでくると救いようがありませんね」

「ん?何か言ったか?」

「いいえ。あなたの仰るとおりですよ…そういうことにしておきます」

「変な奴…」


本当のことなど死んでも教えるものか。
一生分からなければいい。
一生分からなくていい。

私はこの気持ちを隠しあなたの側に居りますとも。

いずれはあの方にも消えていただきます。
そして私があなたの一番近くになるのです。

あなたに必要なもの、必要ではないもの、それは私が決めます。
あなたにとって必要なものは生かし、残し、必要ではないものは殺し、壊します。


あなたのことはあなた以上に知っていますよ。




END
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