幸せの軌跡

□第2話 陽光を浴びて
1ページ/4ページ



人間


第一印象って


大事だと思うんだ



 幸せの軌跡
  第2話
―陽光を浴びて―



なんなんだ、隣のあのおっさんは…。

今年からキャンパスがかわるってんでこの御伽荘に引っ越してきたオレ、ユーリ。
引っ越し初日に隣の部屋らしいおっさんと遭遇し、なぜかいきなりケツを撫でられた。
早速新生活に陰りができちまったよ。

だけど、そんなことで躓いてるなんて人生損だろ。
ってことで、今日はもう気分を入れ換えて、掃除に励むつもりだ。

それに今日は、朝日がいい具合に射してて爽やかな朝だからな。
空気を吸いつつコンビニにでも行こうと、いざ外に出てひとつ伸びをすると。
ガチャリ、と隣からドアが開く音。
嫌々ながら目を向けると、

「や、おっはよう♪」

キラッキラの笑顔が眩しい、目に痛い。
そして、その面を拝んだおかげでオレの爽やかな朝は遥か地平線の彼方へと飛んでいってしまった。
反射的に半歩退いて、軽く身構える。

「ちょ、そんな警戒しないでよ!」
「無理言うな」

自分の胸に手を当ててよく考えろと言ってやりたい。
最悪の第一印象を植え付けておいてよくもまあそんな笑顔を出せたもんだ。
オレが退いた分だけ近寄ろうとするおっさんから、更にもう半歩後ろに逃げる。

.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ