幸せの軌跡

□第3話 サクラ満開
1ページ/4ページ



陽射しうららかな春


新年度の


はじまりはじまり



 幸せの軌跡
  第3話
―サクラ満開―



さぁ、今日は入学式!
さすがに三年間のはじまりの行事だけに、こっちも引き締まった気持ちになる。
普段はときどき他の先生から注意されるくらい適当な格好の俺だけど、今日はびしっと決めるわよ。
ってことで、パリッと糊の効いたシャツに腕を通し、キュッとネクタイを締める。
スーツも新調したばかりで気持ちいい。
うん、我ながらバッチリ!

今日は早めに起きて飯も食ったし、あとは遅れないように学校へ行くだけだ。
こんなに清々しい気分で通勤できるのは久しぶりかもしれない。

「よっし、いってきます!」

誰が返事をしてくれるってわけじゃないけど、一声かけて。
意気込んでドアを開け、一歩踏み出すと、

「……っと!」
「うわっ」

丁度うちの前を通りすぎるところだったらしいユーリ君に、ぶち当たりそうになった。

「ごめんごめん!おっさんちょっと急いでて……ってユーリ君?」

ドアを閉じて、慌てて謝る。
だけど、いつもなら『何やってんだ!』とかって怒るはずのユーリ君が、固まったままで何も言ってこない。
よく見ると…なんか肩が震えてるような…。

.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ