幸せの軌跡
□第12話 先生あのね
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アンタになら
話してもいいかって
そう思ったんだ
幸せの軌跡
第12話
―先生あのね―
昨日ストーカー男からの逃走を手助けしてもらった礼にとレイヴンを晩飯に誘ってみた。
オレとしては外食でもなんでもよかったんだが、なぜかおっさんはこの季節に鍋が食いたいとか言い出して。
その結果現在オレんちでおっさんと二人、鍋パーティーを開催中だ。
男二人で鍋をつつくなんて、なんて寂しい光景だろうか。
それなのに、なぜか嫌な感じはしない。
その事実は少なからずオレを混乱させた。
「おっさんがあの学校で教師やってるってのが未だにしっくり来ないんだよなぁ」
「ちょ、なにそれひどくない?」
そんな戸惑いを払拭するために、思い出したように呟くと、おっさんは大げさなリアクションを取ったあと、なぜか胸を張った。
「これでも仕事はちゃんとしてるわよ」
そりゃ、してなかったらただの給料泥棒だからな。
とはさすがに口には出さないで、話を続ける。
「それはわかってんだけど。なんか、格好が格好だし」
「あー、それはまぁ他の先生たちにもよく言われるわぁ」
下手するとちゃんとするまで見張ってたりするのよね〜、とおっさんは笑った。
って、いや、それはへらへらしてる場合なのか。
どう考えても全力で「直せ」って注意されてんだろ…。
周りの先生たちの苦労が簡単に目に浮かぶ。
「でも、生徒たちのウケは悪くないんだぜー?」
なんだよ、その『俺様すごくね?』的な顔は。
「俺様すごくね?」
「……はぁ」
なんていうか、ある意味わかりやすい思考回路だった。
まぁ、生徒たちからすればきっちりスーツの固そうな印象よりはラフなほうが取っつきやすいんだろう。
気持ちはわからないでもない。
ただ、このおっさんの場合特に深く考えてそうしてるとはとても思えないけどな。
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