幸せの軌跡

□第17話 デートをしよう
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とりあえず


恋人っぽいこと


してみませんか?



  幸せの軌跡
   第17話
―デートをしよう―



努力の甲斐あって、ついにユーリ君と恋人同士(仮)になることができた俺様レイヴン。
でも、それでことが解決したわけじゃないのよね。
むしろ、これからが本番。
正面切って口説けるようになった、ってだけだもの。

青年のほうはまだ戸惑ってるみたいだし。
今は、改めて少しずつ、距離を縮めていけたらいいかな、と思ってる。
ってわけで、その計画の第一段階として、早速デートに誘ってみました。
一応、すんなりと了承も取れたことだし。

青年とは、駅前で待ち合わせ。
ちょっと用事もあったから、お昼にってことで。
用事を済ませて、待ち合わせ場所に向かうとユーリはベンチに座って音楽を聞いているようだった。
もしかしたら結構前からいたのかもしれない。

「お待たせ〜」

ひらひらと手を振って近くに行くと、イヤホンをはずして立ち上がって、

「隣に住んでるのになんでわざわざ待ち合わせなんだよ」

意味わかんねー、とちょっとだけ不満そうな顔をした。
そうは言っても、今日のユーリの服装はいつもよりちょっぴりおしゃれに見える。
なんて、フィルターかかってるのかな、俺の目。

「そのほうがデートっぽくていいでしょ?」
「なんだよそれ」

笑いながら理由を告げると、ユーリも可笑しそうに笑い返してくれて、ホッとする。
どうやら今日はいつもよりも機嫌がいいみたいだ。
これならスムーズに楽しくデートができるかしら、なんて思えたのも束の間。

「なんか見たいものとかある?」
「…どこ行くか考えてないのかよ」

呆れた顔をされて、つい苦笑を返す。
うーん、相変わらず冷たいこと。
でも、俺様としては二人で出かけるってだけで結構満足だったりする。
まぁ、さすがに手を繋いで歩いたりっていうのは無理だってわかってるし。
なら、とりあえずゆっくりお互いを知る時間にすればいいかな、と思ってのお誘いだった。

「えっと、特にないなら、ふらふら歩く感じでもいい?」
「ん、おっさんに任せる」

妙に従順でちょっとびっくり。
たぶん他意はないんだろうけどね。

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