ユーリ受

□明星
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「ん?」

私を見上げた彼は、一度目を見開き、苦笑した。

「何笑ってんだよ」
「いや…」

そうか、私は笑っていたのか…。
私が笑えているのだとしたら、それは彼のおかげに他ならない。
人間として生きる道を捨てたはずの私に、再び人としての感情を与えてくれた。

彼は…そう、例えるならば、夜空に燦然と輝く星。
決して不快ではない、だが、確かな輝きを放つ星。
その柔らかく強い光は、人々を包み込み。
時にその眼下にあるものを見守り、時に誰かの道標にもなる。

己のためではなく、誰かのために必死になることができる強さ。
その強さは、この私ですらも救った。

そんな彼だからこそ、私はその手を取ったのだ。

「よっし、そろそろ行くか」

すっくと立ち上がり、背筋を伸ばす。
軽く払った芝が風に乗って舞った。
陽の光を受け、輝くその姿に目を奪われる。

「ああ…」

同じく立ち上がり、答えを返すと。
彼は振り返りまた、ふわりと笑った。
眩き星の如き笑顔で。



そう……


彼こそまさしく


凛々の明星



END




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