リクエスト
□君と生きる
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それなのに…
「ホント…俺がやられてりゃよかったのに…」
無意識に漏れた呟き。
「―――んな」
「え?」
いつ目を覚ましたのか、僅かに身を起こしたユーリがこっちを睨み付けていて。
「ふざけんなっ!!」
怒号が一つ、狭い部屋に響き渡った。
傷が痛むのか、一瞬顔をしかめたけれど、支えようと伸ばした手は容赦なく振り払われる。
「なんだよそれ、『俺がやられてりゃよかった』!?」
「いや、その、ね」
捲し立てるユーリには、とりつくしまもない。
「ふざけてんのかっ?!」
息を荒げて、力の限りに怒鳴る。
きつく睨み付けるその瞳には、微かな水の膜が張っていて。
「…っ二度と、んなこと言うんじゃねぇよ…」
その声はどんどん小さくなっていき、ユーリは下を向いてしまった。
肩が小さく震えている。
「……泣いてる?」
「っ、泣いてねぇよ!」
そう吠えたユーリは、一度だけ目元を腕で拭った。
今までに見たことのない、取り乱したユーリの姿に、動揺を隠せない。
「ユーリ…」
馬鹿は俺の方ね。
こんな顔をさせておいて、それでも尚知らないふりをするのか。
そんなこと、できるはずがなかった。
いや、本当は気づいていたはずだ。
ユーリが倒れたあのときに、わかっていたはずだった。
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