リクエスト
□恋は盲目
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「おかえり〜」
「ん、ただいま」
あれから20分くらい経って、ユーリが部屋に顔を出した。
そして、返事をすると、どさっとベッドの上に胡座をかいて座る。
「意外と早かったんじゃない?」
「んー、相変わらず副官のねえちゃんがおっかなくてな」
「あぁ〜」
苦笑しながら頭を掻く姿に、少し、ほんの少しだけ焦りみたいなものを感じる。
「でもま、フレンも忙しいみたいだし、こんなもんだろ」
それが、もっと話をしたかった、そう言っているように聞こえて。
自分の中に不穏な感情が沸き上がってくるのがわかった。
普段から心の奥底にあった思いが競り上げてきたんだろう。
「ふぅん…仲がおよろしいことで」
普段ならこんな言い方はしないのに。
つい、口をついて出てしまった。
当然ながら、
「は?なんだよその嫌みっぽい言い方は」
ユーリは眉間に皺を寄せて、不快感を示した。
その少しだけ低い声に含まれるのは、小さな怒りか。
だけど、その小さな怒りにすら、更なる焦りを覚えて。
「ごめんごめん、うらやましくてちょっと拗ねただけだって〜」
「…そうか?」
笑って取り繕いながら、距離を取る。
ユーリはまだ訝しげな顔をしていて、俺の挙動には気が回ってないみたいだった。
こんなやり方を思い付くなんて、おっさん相当キてるみたい。
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