リクエスト

□恋は盲目
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ユーリからは死角になるだろう位置まで下がって。
そして、唱える。
ユーリには聞こえないように小さな声で、ただしはっきりと。

「時間よ止まれ、お代は見てのお帰り……ストップフロウ」

キンッという小さな音と共に、ユーリの動きがぴたりと止まった。

我ながら大人げないとは思うんだけどね。
理性と本能ってやつは時として戦いすら放棄する。
結局、動物は本能に従って生きる生き物だということ。
そして、人間はその中でも貪欲な生き物だということ。

ユーリの動きが止まっている隙に、その手を後ろで纏め、紐で自力ではほどけない程度にきつく縛る。
その作業を完了するのとほぼ同時に術が解けて、

「……なっ!?」

しばらくは自分のおかれた状況がわからなかったのか、ボーッとしていたユーリだったが。
一度それに気づくと、当然驚いて暴れようとする。
だけど、その動きを封じるように、その体を後ろからぎゅっと抱き締めた。
首筋に噛み付くと、ユーリは肩をびくりと震わせる。

「な、なんのつもりだよ、おっさん!」

あり得ない事態に、さすがのユーリも混乱してるみたい。
そんな普段は見られない姿に、僅かな興奮を覚える。
その興奮は、俺をいつも以上に饒舌にした。

「彼とは、なんでも一緒、なんでも半分だったんだってねぇ?」
「は?何言っ…っあ!?」

服の上から少し強めに息子を握ってやると、ユーリは高い声を上げて身をすくませる。

「ってことはさぁ…」
「ん、だよっ」

これから何をされるのか、言われるのか、警戒してるのがわかった。
そんな姿は、よりいっそう嗜虐心を刺激して。

「こーゆーことも…分け合ってきてたりして?」
「ふァッ!?」

下半身に伸ばした手はそのままに。
かぷり、と耳を口に含みながら、低く囁く。

「な、にを…」

意味がわからない、そんな顔で振り向いたユーリの顎を掴んでそのまま唇を重ねる。
無理な体勢にユーリは顔をしかめたけれど、離してなんてあげない。
おっさんに妬かせた代償、体できっちり払ってもらうまではね。

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