幸せの軌跡

□第13話 無防備は罪
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そんなに無防備で


おまえさんは俺様を


どうしたいのよ



 幸せの軌跡
  第13話
―無防備は罪―



ユーリが自分と同じ夢を見ている。
ユーリがその夢を打ち明けてくれた。
他でもない、俺に相談してくれた。
それがどれほど嬉しいことか、きっとユーリにはわかってもらえない。
けど、本当に嬉しくて。

ついつい調子に乗った結果、おっさん大変なことになったんだけどね!

お酒も入ったせいかかなり高いテンションで、ずいぶんと長い間色んなことを話した気がする。
仕事のことだけじゃなくて、ユーリ自身のこともたくさん聞けた。
あるときふと、ユーリが静かになったことに気がついて。

「ユーリ?」

ふっと時計に目をやると、二本の針がてっぺんを回ったところだった。
次いで、ユーリに目を向けるとうつらうつらと舟を漕ぎはじめている。
そんなユーリに苦笑して、

「ほら、眠いならちゃんとベッド行かないと」
「ん…」

ぽんぽんと肩を叩いてやると、小さく頷いた…だけでまだそこから動く気配はない。
ユーリのこんなに力の抜けきった姿ははじめてで。
ちょっぴりドキドキする。
でも、とりあえず、鍋だけはそのままにしたら危ないから片付けておかなきゃね。

「ユーリ?おっさんこれおいてくるからね」
「おー」

声をかけると、かろうじて返事はするけど、内容を理解してるかどうかは怪しい。
ちょっと不安に思いながらも、鍋を抱えてキッチンへ向かった。
素早く片付けようと心に決めて。

そして、キッチンから戻ってくると…

床にユーリが仰向けで転がっていた。

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