幸せの軌跡

□第14話 迷走シンドローム
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とある日。
いい加減痺れを切らしたオレは、ドアの前で待ち伏せることにした。
これ以上モヤモヤを抱えているのはイヤだった。
早くスッキリさせてしまいたい。

夕方、おっさんの部屋の前に陣取っていると、こつこつと足音が聞こえてきた。
その音に反応し、姿を確認するかしないかのところで声をかける。

「おい、おっさん」
「ユ、ユーリくん!?」

なんだよ、その反応は。
廊下にオレの姿を見つけたおっさんは、それは大層なリアクションをとってくれやがった。

「ど、どうしたの?こんなとこで」

白々しい動揺っぷりに、眉間に皺が寄った。

「どうした、だって?」

そんなのアンタが一番わかってると思うけどな。
声のトーンが下がるのが、自分でもわかった。

「おっさんさ、なんかオレに隠してることがあるんじゃないのか?」

逃がさないように睨み付ける。
しばらく沈黙が続いて、

「ふぅ…」

おっさんは、ついに、観念した、とでも言うように両手を上げてため息をついた。そして、

「とりあえず、上がって?ここで騒いでたらまずいっしょ?」

そう苦笑してオレを部屋に上げた。
その間もほぼ無言。
いつもならウザイくらいにしゃべるくせに。

「…で?」

とりあえず座って、とすすめられたソファーに座り、反対側に座ったレイヴンを見据えた。

「ホントに聞きたいの?」

未だ煮え切らない態度に、イライラする。

「いいから早く言えよ」

それでもできるだけ自分を抑えながらそう言うと、おっさんはまたため息をついて。

「しょうがないなぁ…」

ようやく諦めたのか、オレを見つめながら、言葉を探しているようだった。
そしてオレは、そんなおっさんの答えを、静かに待った。



迷い込んだ迷路の


出口がきっと


そこにあるから



To be Continued...



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