幸せの軌跡

□第15話 溢れ出す想い
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そんな目で見ないでよ


おっさん


期待しちゃうじゃない



  幸せの軌跡
   第15話
―溢れ出す想い―



眠るユーリの唇を奪ってしまったあの夜以来。
俺はユーリとどう接していいものか悩んでいた。
というよりも、一度触れてしまったが最後、その先が欲しくなってしまった、というのが本音で。
ユーリと話せばボロが出るのは目に見えてた。
だから、自分の中にある衝動が落ち着くまで、ちょっとユーリから離れようと思ったのに。

「おっさんさ、なんかオレに隠してることがあるんじゃないか?」

真剣な目で見つめてくるユーリにたじろぐ。
なるべくわからないように避けてたつもりだったんだけど、やっぱバレバレだったみたい。
でもまさか家の前で待ち伏せされるとは思わなくてちょっと驚いた。

「とりあえず上がって?ここで騒ぐわけにもいかないっしょ?」

そのまま玄関の前で、ってわけにもいかず、観念してユーリを部屋に上げることにした。
とはいえ、やっぱり切り出しづらいものがある。
できることなら黙っておきたかったことだし。

「ホントに聞きたいの?」
「いいから早く言えよ」

なんとかうまくごまかせないものかと言い訳を考えてみるものの、なかなかいい案が浮かばない。
それどころか、

「ごまかすなよ」

先に釘を刺されて、逃げ場を失う。
思考を読まれてる。
ここまで来ちゃったらきっともう逃げられない。
だけど、逆に考えて、こんなに気にしてくれるってことは…なんて思っちゃうあたり、実はあんまり懲りてないのかなぁ。
あまりに必死に問い詰めてくるユーリにあらぬ期待をしてしまいそうだった。

「で、なんなんだよ。オレ…何かへんなことしたのか?」

なんかマズイことやったんなら謝るから、とユーリはさっきまでの高圧的な態度をやめて、眉を下げた。
どうやら、酔っ払って寝ぼけた自分が何かしでかして避けられていると思ったらしい。
なんてかわいい発想なんだろう、とニヤケそうになる。
と同時に、胸の奥がちくりと痛んだ。
こんな純粋な子に対して、自分が抱いてる感情は…とても汚ないものみたいに思えて。

「何か、したのはおっさんのほうよ」
「そう…なのか?」

自分が何か失態をおかしたわけではないとわかってホッとしたのか、ユーリは少し表情を和らげた。

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