ユーリ受

□Trick and Treat!?
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「パンプキンムース?」
「そ、ハロウィンだし、それならあんまり甘いの得意じゃない人でも平気だって言われたから」

せっかくのイベント事、大好きな人と同じ時間、気持ちを共有したくて自分でもおいしく食べられそうなものを選んできた。
甘いもの好きなユーリにはちょっと物足りないかもしれないけど、と言うとユーリは、

「うん、うまい」

一口含んで、嬉しそうにそう言ってくれた。
その笑顔に、どうしようもなく満たされた気持ちになる。
ユーリを真似るように、ムースを口に入れると、ほんのりとした心地好い甘さがふわりと口に広がって、より一層あたたかい気持ちになった。

計画とは違っちゃったけど、可愛いユーリのツノつき姿も見れたし、ご機嫌取りにもなんとか成功した。
そこで調子に乗ってしまったのが、今回の敗因だったのだ。
もちろん、そのときの俺様は、そんなことは知るよしもない。

「ね、ね!」
「ん?」
「ついでだからさ、も一つおっさんのお願い聞いてくれる?」

身を乗り出して、じっと見つめるとユーリは、ムースを口に運ぶ手を止め、小さく苦笑した。

「しょーがねぇな、おっさんは」

そして、発せられたお許しの言葉に、心の中で狂喜乱舞する。

「あのね、あのね…っ」

一気に跳ね上がったテンションのまま、ごそごそと紙袋を漁り、目的のものを取り出す。
お菓子を買いに行ったときに見かけ、気がつけばゲットしていた魔女っ子ドレス。
黒を基調に赤をあしらっていて、妙に色っぽい。
短めのスカートの裾がギザギザになっているのも、エロさを増長させていた。
けれど、背中につけられたリボンは可愛らしさをアクセントとして加えていて、そこがまたたまらない。

「ぜーったい、ユーリ君に似合うと思って!」

これをユーリが着ると考えただけで、天にも昇る気持ちだった。
が、そんな風に浮かれきっていたせいで、ユーリの目元がぴくりと動き怒りを示したことに気づけなかったのだけれど。
そのまま、るんるん気分でドレスをヒラヒラさせながら近づき、バッとユーリの前につきだす。

「はい、どーぞ!」
「……やっぱ死ね」

低い低い呟きと共に、有無を言わせない素早さで繰り出された拳が鳩尾に入る。

「ぐぅ…っ!」

ばさり、と手からドレスが落ち、それを追うようにがくりと床に膝をつく。
そして、ゆっくりと意識が遠のいていった。
倒れる直前、視界の端に最大限に侮蔑のこもった目を見た気がした。

「ばーか」



楽しいハロウィン


悪戯もいいけど


ほどほどに、ね



END



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