☆レツゴ小説☆
□偽りの言葉
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偽りの言葉
インターナショナルスクール。。。
エーリッヒの部屋にミハエルが訪れた。
「ねぇ、エーリッヒ・・・。ボクの時計が壊れちゃったんだけど・・・。直せるかなぁ?さっき床に落としちゃってさ・・・」
ミハエルは鳥型の目覚まし時計を抱きかかえている。
けっこう大きな代物だ。
「どれどれ・・・」
エーリッヒは目覚まし時計をミハエルから受け取る。
針が一本抜け落ちていた。
「これなら簡単ですよ。開けてネジ止めすると出来ます。ちょっと僕に預けてくれますか?ミハエル?」
「うん!ありがとエーリッヒ!!ボクその時計すっごくお気に入りなんだ♪」
ミハエルは物が壊れるといつもエーリッヒを頼りにする。
アイゼンヴォルフの皆もそうだ。
エーリッヒの手先の器用さを皆が認めている。
さっそくエーリッヒが、時計を直し始める。
真剣な表情・・・
ミハエルはそれを見守っていた。。。
流れるような手さばきで時計を解体していくエーリッヒの指先。細かい部品があらわになる。
「ミハエル。見ていて楽しいものじゃないでしょう?出来上がったら貴方の部屋へ運びますよ」
エーリッヒがボヤーッと見ているミハエルに言った。
「えっ?楽しいよ!!だってすごいんだもん・・・エーリッヒの指先・・・。尊敬するなぁ・・・」
ミハエルにそんなコトを言われて驚くエーリッヒ。
「何を言ってるんです?ミニ四駆の組み立てと同じようなコトですよ?ミハエルも得意ではないですか!」
「お、同じなんかじゃないよ!!ミニ四駆よりパーツが細かくて部品も多いじゃないか!!エーリッヒにしか出来ないよ!!」
ミハエルが興奮しきって言った!!
「そんなコトないですよ。ミハエルもやってみます?機械いじりって、集中できて楽しいですよ!壊れた物が直った瞬間はとても感動するんです・・・。自分の手で蘇らせれる感動・・・中々やめられませんよ!ミハエルならすぐ出来ますよ」
エーリッヒがニッコリ言うので、ミハエルは赤面した。
エーリッヒの所にくる理由が欲しかった・・・。
だからワザとお気に入りの時計を床に落としてみた・・・。
ボクはバカだな・・・理由が無いと、会いに行く勇気が無い。
大好きなエーリッヒに・・・。
エーリッヒはシュミットと仲がいいし・・・
みんなに分け隔てなく優しい・・・
きっとボクのことなんてどうとも思ってない。
聞く勇気もないけどさ・・・。
拒絶されるのが怖くて・・・・嫌われるのが怖くて・・・・。
こうやって何か理由をつけてエーリッヒに会いに来るボク。。。
情けないよね・・・
天才だの貴公子だの・・・色々いいイメージばかりが皆の中にあるみたいだけど・・・本当のボクはそんなに強くない。カッコよくない・・・・・。
好きな人を目の前にして、何も言えないんだから・・・。
「ミハエル?どうしました?カオが赤いですよ?熱でもあるんじゃないですか?」
そう言ってエーリッヒがボクの額に触れる・・・・・・
エーリッヒの手は冷たくて気持ちよかった・・・。
幸せで、ずっとこのまま触れててほしかったけど・・・・・・・・・
いつものクセで本当に言いたい言葉を飲み込んでしまう。
「大丈夫!!ボクのコトはいいから、時計を直してエーリッヒ!」
エーリッヒを作業に戻らせる。
ボクはエーリッヒのベットに座ってまたエーリッヒを見つめた。こうやって一緒にいられるダケで幸せ・・・。
夜になるとエーリッヒはシュミットの所へ行っちゃうから・・・今しかないんだ・・・。
本当はエーリッヒをシュミットの所へ行かせたくない・・・行って欲しくない・・・。でも、止める手立てをボクは知らない・・・。
夜は寂しくて長くて・・・ツライ。。。
また今夜も夜がくる。。。
涙が自然と出た。。。
エーリッヒを止めるなら今しかない!でも・・・怖いよ・・・
エーリッヒの反応が!!
ボクはエーリッヒに何も言わず部屋を出た。
廊下へ出ると涙が止まらなくなる・・・。
一言いえる勇気があれば・・・エーリッヒに伝えられるのに・・・・
胸が苦しい・・・言えば楽になるのかな・・・?
でも・・・怖いよ・・・。
今の関係が壊れるのは・・・
ボクがエーリッヒのコト好きだっていったら、シュミットともただじゃすまない・・・。
それもイヤなんだ!!
だから・・・ボクがガマンするしかないんだ・・・。
ボクが・・・・・・・・・。
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続きは裏にあります♪
2008・7・17