☆レツゴ小説☆
□癒しの魔法
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癒しの魔法
みんなは運命の出会いって信じる?
ボクは信じてるよ。。。
エーリッヒと出会えたことでボクの人生は劇的に変わった。。。
こんなに自分を犠牲にし、人に尽くす人に出会ったことが無かった。。。
ボクが・・・他人を気にするなんて珍しいでしょ?
エーリッヒはヒトに気を使いすぎて、自分が傷ついちゃう所があって・・・
誰かが止めないとトコトン根詰めてやっちゃうから・・・
放って置けないんだ。。。
夜、エーリッヒは今日の練習内容をレポートに書く。
チームを代表してエーリッヒが書いてくれているんだ。。。
本当はリーダーのボクがやらなくちゃいけないんだけど。。。。
エーリッヒが進んでやってくれている。。
ボクはそういうのニガテだから本当に助かってる。
一生懸命、机に向かってペンを走らせるキミ。。。。
ボクは邪魔しないように、この時間は彼に会わない。。。
だって・・・ボクが行ったら、エーリッヒはペンを止めて、ボクの相手をしてくれる。。。
絶対ボクを優先してくれるのがわかってる。。。
とても嬉しいけど・・・レポート書くのが進まなくて、睡眠時間が少なくなっちゃうもの。。。。
エーリッヒを疲れさせたくない。。。
だからボクはガマンする。
毎日、夜9時〜10時の間は、じっと時計とニラメッコして、エーリッヒが書き終わるであろう時間を待つ。。。。。
その時間がとってもゆっくりで・・・待っているのもツライ。。。
大スキなクラシックを聞いていても、脳裏をよぎるのはエーリッヒのことばかり。。。
会えないときって、逆に会いたくなっちゃって。。。
もどかしい気持ちになる。。。
10時まで後30分。。。
レースの30分間なんてあっという間だけど、このエーリッヒを待つ時間は、果てしなく長く感じてしまうんだ。。。
ボクは、自分の部屋のベットから起きて、部屋をウロウロし始める。。。
時間をもてあますボク。。。
何をしても、集中できなくて・・・時間が過ぎ去るのを待つしかない。。。
時計を見ると残り20分。。。
エーリッヒに早く会いたいよっ・・・
ボクは少しでも早く会いたくて、彼の部屋の前まで行く。。。
10時ピッタリに扉を開けてエーリッヒをビックリさせてあげよっと♪
夜のインターナショナルスクール・寄宿舎の廊下を歩く。。。
シュミットの部屋からはブレットの声がした。。。
なんだか2人で楽しそうに盛り上がっている。
ライバルっていいよね!
シュミットとブレットを見ていると、微笑ましくなる。
2人して、すぐ熱くなってかわいいんだもん!!
カワイイって言ったら、2人同時に怒られたケドさ。。。
エーリッヒの部屋の扉の前にたどり着く。。。
ボクは廊下の壁に寄り掛かってしゃがんだ。
腕時計を見ると、後15分。。。
ここでじっと待ってよっと♪
シュミットもアドルフもヘスラーも、ボク達の関係を知っていて、見守っていてくれている。。。
本当にこのチームでよかったって感謝してぃるんだ。。。
ボクはちっちゃい時は病気で、外の世界を知らなかった。。。
ミニ四駆で世界征服したくて、病気を克服してからスグ、アイゼンヴォルフに迷い無く入団。。。
そこで出会った初めて仲間。。。
かけがえの無いチームメイト。。。
ここがボクの居場所だって思えた。。。
みんながボクを認めてくれる。。。
認め、敬ってくれるからこそ、ボクは負けるワケにはいかなかった。。。
でも。。。
ボクは負けた。。去年のWGPでレツ君、ゴー君、カルロにことごとく敗れた。。。
あの時は、負けたことが信じられなくて・・・受け入れられなかった・・・・
次、勝てば・・・負けは無かったことに出来るって思ったけど。。。
そのファイナルレースでもボクは負けた。
その結果アイゼンヴォルフは優勝を逃した。。。
でも、自分的には本当のミニ四駆の走りがわかっただけで満足だった。
勝つだけがレースじゃない。。。
楽しむのがレースだよ。。。
おもいっきり走ってそれで勝てればサイコー!!!!
ボクはミニ四駆の真髄を知る事ができた。
そこまではよかったんだ。。。
ボクは満足感でいっぱいだったんだけど。。。
・・・でも、まわりを見た時、唐突に察した。
『ミニ四駆界の貴公子』
『不敗神話』
それらの肩書きが全部崩れ去って、ボクは何も無くなった。
カリスマ性がある!って皆に言われ続けてきたけれど。。。
そんなものも一つ残らず無くなった。
ただのボクと化す。。。
自分に何の価値も無くなったと悟った瞬間だった。
・・・ボクはアイゼンヴォルフのリーダーだ。
チームを勝利へ導くのがボクの使命だった。
今まで負け知らずだったから、チームに貢献できていたワケで・・・
年上のみんなから敬われ、大事に扱ってもらった。
それに甘えて有頂天になっていた。。。
ミーティングやレポートなど、面倒なことは全部4人がやってくれて。。。
ボクはレース以外では何にもしなかった。。。
だから。。。
レースで勝つことが出来ないボクなんて、みんなに必要ないんじゃ無いかって思ったんだ。。。
ただの恥晒しで、役立たずで、お荷物なボクなんて。。。
アイゼンヴォルフ・リーダーには相応しくない。。。
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