04/17の日記

01:19
ヌード
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今までこんな単純な事を気付けなかった。

善悪を知る木の説明や、
対立する二元性からの脱出を投げかけるべく言葉に悩む前に、
本来はコレ一つで事足りていたのだ。

恥はないと言うこと。
世の始まりに恥があったのでなく、恥は
人に決められて来たと言う事。

世界中でもし本当に恥が有るとするなら、それは否定だ。
小さな否定から始まり最後には大きな否定で
誰かを終わらせてしまう事だ。
私も幾度となくその恥に自らを染めようとしていた。。
否定を少なくしようとしている誰かを自らの否定で
根こそぎ機会を奪おうとしていた。

片方ずつ違うスリッパを履いている場面を見られたとしても、
誰をどんな理由でどんな風に受け入れられなかった事を
広められるほど隠れてしまいたい事はないのではなかろうか。

こういう私も否定はまだあり、指摘はまだあり、選択はまだある。

でもこれは私にとってのコロンブスの卵だ。
善悪を知る木の罠が解けた時より嬉しいかもしれない。

善悪を知る木が楽園から永遠に姿を消すほどの威力を感じる。

全てが吹き飛んでしまうのだ。

自分が感じている恥は、それまでに人が決めて来たもの。
だから、それを忘れさえすればいいと言う単純さ。

Gパンのお尻が裂けてる事、靴下に穴が空いてる事、
表彰台に上がり、スピーチを忘れてしまう事、
短く切った髪が似合わないと笑われてしまう事、
新調したスーツを着たとき、まだ値札が付いていた事、
人並みに揃える必需品を買っていないと焦る事、
近所の友人と同じ学校に入れなかった事、

「存在しているのにそれを受け入れられない」事が
存在している者としての唯一の恥だとするなら、
これらの事は何でもない。

肉体から抜けた者が仮に薄布だけを衣としていたなら、
それを見た人間は「みっともない」と思うだろうか。

もっと乱暴に言おう。
肉体を抜けた者が裸体で抱き合っていたとして
それを見た人間は「みっともない」と思うだろうか。

明らかに恥じるポイントを決めたのは人間である。

もし、全ての存在に共通した恥があるとするなら、
それは形では無い。響きでも無い。
存在する者を否定する事だけであろう。

全てを受け入れ、否定以外は何も恥ずかしいと思わないなら、
その先の何処に?いつ?善悪が生まれてくるのだろうか。

私は女性のヌードが好きである。
それを恥ずかしいと思う誰かが居るなら、
今までそれが常識だった世界に染まっていただけだろう。

シリアスな詩を書きたかった。だから今はとても満足。
私が筋金入りのエロだったらこそ、逆転された秘密。

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01:18
普通
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紙を運ぶ仕事をしてきた人はそれが普通。
ラインに間に合わせる仕事をしてきた人にとっては、
遅れないのが普通。

人に優しくしてきた人にはそれが普通。
人を騙してきた人が人の優しさを信じれないのは普通。

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01:18
ロゴス
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言葉はロゴス。
散らされ向き合う性分。
それは神をあらわし、何ひとつ指し示す情感として
同じものはない。

はじめはそこに言葉は無かった。
たが改めて手にとって見つめ直したくなった。
そして改めてそれはどのような味わいかを
想像させやすくするため、
満足から言葉へと切り離した。

存在を拒む事を伝える言葉はあっても、
言葉自体の意味合いまでを亡き者とする言葉は存在しない。

あなたの忘れられない妻だった女性を
あなたが納得するほどの言葉で並べてみよう。

そしてそれらの行為の数々は、
同時に神の片鱗をあらわす事となる。

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01:17
粘土
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「空」を 誰にでも。

例えば、子供が遊べるようなプレイルームがある。
現代的な玩具は全くなく、ただ、部屋のど真ん中には大きな粘土が
どっしりと構えている。

それで勝手に「おもちゃを作れ」と云うことらしい。
いや、まてよ。「おもちゃを作れ」と云われたと思い込んでるのは、
その粘土を見つけてしまった側に過ぎない。

でも、一人遊びが好きな子供であれば、これほど自由な事は無い。
その粘土で戦車を作っても、お酒のビンを象っても、まだ見た事の無い人を想像しても、
どんなものを作ったとしても、まず怒られたりはしないだろうから。

暫くしてそのプレイルームにはもう一人、子供が遊びに来たようだった。
そして初めにそこで遊んでいた子供が作った自動車を見るなり、

「俺の方がかっこいいの作れるもん。」

あっ、と言う間もなく、その子が作った自動車を捻り潰してしまった。
初めに粘土を見つけていた子供は一瞬、目が淀んだが、
また次の瞬間、思い直すように

「まだ何も作ってなかった頃に戻っただけだから、気にしないよ。」と
笑って見せ、後から来た子供の自動車作りを穏やかに眺めていた。

ちなみにだが、特に何の意図もなく適当に粘土をいじった後、
その子達に見せたところ、こちらが何も言っていないのに、
彼らの中で常日頃、見ることのある「何かしら」を気ままにかつ反射的に
思い浮かべていたのが印象的だった。

ほんとうに「特に何を作ったつもりは無い」のだが。

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01:16
葡萄
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葡萄になる一粒それぞれはその視点の先には自らは見えず、
自分が何者であるかも、またどこから生かされてるのかも気付けない。

だが、ひとたび視点を自分から外せば、
同じ実を結ぼうとしている同朋が沢山いる事を知る。

そして、房を成すより太きところへと心を辿れば、生命を同じくする一つの
源流があることも。

私達はその味を確かめられる。
肉体を脱皮して、食べられない自我を吐き出されたあとに残る実は
どれほどあるかを。

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01:15
ひとつのパン
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この草むしりが終わったら持って来たパンを食べよう。
この落ち葉を掃いたら頂いたお駄賃でジャムも買おう。
そのようにして小さな夢をひとつずつでも
確実に叶えられそうな毎日にありつけた、
かつての小さい泥棒だったあの子。

でも今日は仕事が無い。
やっぱり今日も仕事が無い。
同じ仕事をしてくれる女性が気に入られたみたい。

食べる手段を求め、知らないおじさんに声をかける毎日。

そんなある日、道端に落ちていたひとつのパン。
これは神様からのプレゼントだとその日だけは安らかに
寝っころがれるのを喜んだ次の瞬間、

「それは俺のだ!」

手に持ったパンを背後から抜き取る破れたコート。
その瞬間、なんだか猛烈に湧き上がる憎悪。

「それは自分の。。自分が貰ったパンだ!」

何があっても奪い返そうと追いかけるが、
追えども追えどもそのコートは形を小さくしてゆく。。

またありつけなくなった今宵の満腹。

「アイツさえいなければ。」

その思いから少年はどうしても逃れる事が出来ない日々。

やがて彼は落ち葉と同じ目線に倒れ込んだとき、
ひとつの新しい思いを感じる事となる。

「あのときの泥棒は奪ったパンで今も元気なのかもしれない。」
「憎む気持ちでいっぱいよりも、今の方がなんだかホっとする。」

傍にパンは落ちてなかったが、彼の顔に数枚の枯れ葉が架かった。

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