女子校コース(落乱)

□第二話 兵と豚足
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「豚足はコラーゲンがいっぱい含まれているから、食べるといいよ」




「…………は?」







第二話 兵と豚足






―――今、私の目の前にいるのは、綺麗な顔をした女の子。名前を摂津きり子という。


入学式の日に遅刻をするという前代未聞な事をした子だ。


そのきり子が、突然笑顔でそんな事を言うものだから何を言ってるのか理解できなくて、一瞬思考が止まった。


「…一体何なの?」


私は彼女に疑問をぶつけてみる。


「え?だってあなたモデルさんなんでしょ?」


きり子は見当違いな返答をしてきたが、とりあえず肯定するとニコニコしてこう言った。


「モデルだったらやっぱりお肌には気を使わなくっちゃ!これね、今私が行ってるバイト先の余りなの☆良かったら食べてよ!」


言いながら出してきたのは豚の足。いわゆる豚足。



「え…、」



正直言って気持ち悪いんだけど…。そう思ってその足をきり子に返そうと思ったら、



「へいちゃんの為に貰ってきたの!」と付け加えられた。





―――私の為に…?







「へいちゃん仕事で忙しいだろうし、私にできる事なら、と思ってさ。お肌に効く豚足食べてモデル頑張ってね!」


ありったけの笑顔で笑うものだから、少し嬉しく感じて私は押し返そうとしていた手を引っ込める。


「……ありがと。」


ぽそりと礼を言うと、きり子はどういたしましてー、と頬笑みを深くした。


今までとりまきはいても、自分の事を思ってこんな事されたことは初めてだったから、私はどうしていいかわからなくて困る。




―この気持ちはなんだろう。―




初めて抱くこの感情が何なのかは知らないけれど、この子に対しては少しだけ素直になろうと思った。



*****



「―――ねぇ、きりちゃん一つ聞いていい?」

「ん?なぁに?ラン。」

「いや…さっきね。兵がニコニコしながら豚足食べてたんだけどさ、」

「あー…うん。―――それが?」





「あれって、“期限切れだから早く処分してくれ”ってきり子の店の店長に言われてた豚足じゃないの…?」



「……………えへ☆」









やっぱりね…。


きり子の悪魔のような笑顔を見て、らんは確信したが、兵があまりにも幸せそうな表情で豚足を頬張っていたので、その真実は自分の心の中にだけ仕舞う事にした。



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