芸能コース(落乱)

□月9忍たま!act.08
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act 08「笹山 兵太夫」




―――初めまして。

僕は笹山 兵太夫。

職業はモデル。

「Juno」っていう雑誌の専属で、これでも海外にも名前は出ている。

ところで今日は、ドラマ「忍たま」の顔合わせでココに来たわけだけど、正直言わせてもらうと、かなり面倒くさいんだ、これが。

監督に挨拶をして、共演者に挨拶をして、スタッフに挨拶をして…ete

にこにこ
にこにこ

いいかげん、顔が疲れたからちょっと休憩してるってわけ。

あーあ。

よくこんな意味のないことに時間作ろうとするよね・・・。

マジで無意味。




「兵太夫くん?」

僕がテーブルの上に置いてあるおそらくスタッフが用意したであろう紅茶を飲み干していると、ふと後ろから見知った声が僕を呼んだ。

「桐…」

「どうしたの?気分でも悪い?」

そう言って、彼は僕の顔色を窺うように見つめてきた。


あいかわらず、綺麗な顔…


「ううん、ちょっと休憩しようと思って。平気だよ」

僕は、ふぅ、っと溜息をはいて肩をすくめてみせて。

「そっか。…無理はしないでね」

彼はそれだけ言って、にこっと微笑むとスタッフに呼ばれて慌てて駆けて行った。

「『無理はしないでね』…か。あいかわらず勘は鋭いこと。」

彼とは、モデルとして何度か仕事を共にした事があった。

初めて会った時、僕は彼の才能に嫉妬した。

ハッとするような綺麗な顔。
印象深い強い輝きを放つ瞳。

大衆の目を一瞬で引き付けるオーラ。

卓越した身のこなしや、被写体としての魅力。

“モデル”という仕事を天職としてきた僕にとって、その魅力は欲しくて病まないモノで。

その魅力を持ってる彼が目ざとくて仕方なかった。

まぁ、今は桐を認めているけども。

でないと、僕自身伸びないしね。

「あーあ、面倒くさい」

僕は欠伸をかみしめながら、“挨拶回り”を再開した。


*

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