芸能コース(落乱)

□月9忍たま!act.03
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Act 03 「黒木と佐竹」



顔合わせ前日の夜のこと。

「上手く演れるかな…」

「大丈夫だって!」

ぽつりと不安を漏らす黒木 庄に当たり障りのないフォローを入れる佐竹 虎若。

2人は桜絽歌舞伎界の両長若旦那で、幼馴染である。

今回ドラマ「忍たま」の出演依頼がきて、いい勉強になると承諾したはいいが何分TVドラマなんて初めての世界だ。

カメラが回っている場所で思う存分演技なんてできるのだろうか…。

不安ばかりが募っていく庄を横目で見つめながら虎若はよしよしと頭を撫でてやる。

「庄は心配し過ぎだよ。俺もいるんだしさ、気楽にいこーぜ?」

まるで気弱な弟を慰めているみたいだ、と虎若は思う。

1つ下の幼馴染は人見知りで、とても気が小さい。

小さい頃から一緒にいた虎若はいつも彼の御守をしていた為、歳に似合わずずいぶんと兄貴肌に育ってしまった。

まぁ、彼の元々の性分もあるのだろうが。

「そうだね。ありがとう、虎若。」

庄は少しはにかんで礼を述べる。

よかった。
元気になったみたいだ。

虎若がうんうんと頷くと、庄もつられて頷いた。

「さて明日は早いからもう寝るぞ〜」

「うん。おやすみ」

「おやすみ〜」


二人の寝息が聞こえだしたその頃。

静かな夜に月だけが輝いていた。


*

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