芸能コース(落乱)
□月9忍たま!act.04
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Act 04 「色ものトリオ」
「…というわけで、3人とも頑張ってね〜」
歌って踊って演技をするミュージカル劇団「四季劇団」の団長はいつもの軽〜い感じで言った。
内容は今度月9で始まる新ドラマ「忍たま」の出演依頼が来たということであった。
四季劇団の平野 滝、綾部 喜八の2人は今まさに浮かれていて。
それを横目にうんざりとした表情で見つめるのは同じ劇団の後輩、田村 三樹である。
「やっぱ私の才能が認められたんだよなぁッ☆」
はははぁ☆と滝は、自信たっぷりに手を腰に当てて笑っていた。
白い歯がキランッと存在を誇張している。
「ふっ。滝は色ものの役だろう?僕は原作では麗しの役にあたる“綾部”だよぅ?」
あきらかに僕のほうがポジション上だよね。
そう零しながら喜八も黒い笑顔で微笑む。
「お、俺だって、結構いい役…」
「なんだと?!おい喜八!!生意気だぞ、NO2の分際でっ」
「だって本当のことじゃないか」
三樹が参戦しようと言った言葉は2人の喧嘩にかき消されてしまった。
この2人はいつもそうだ。
俺の話を聞こうともしてくれない…。
三樹は小さく溜息を吐く。
その溜息を目ざとく見つけた2人は三樹のほうに向きなおって。
「おやまぁ、平野さん。田村君がいっちょ前に溜息ついてますわよ〜」
「本当ね、綾部さん。後輩のくせに、偉そうですこと」
「……げっ」
まるで小姑のように三樹を責め立てる滝と喜八に三樹はたじたじになる。
「ヘタレで根暗な田村君に溜息吐かれる筋合なくってよ??」
「あ〜あ、滝ちゃん怒らした〜。責任とってよね、三樹」
芝居口調で話す滝に、他人事のように煽る喜八。
ゴキゴキと嫌な音が滝の拳から聞こえてきて。
「ご…ごめんなさい〜〜〜〜っっ」
三樹の断末魔が楽屋内に響いた。
「………また始まりましたね。団長、本当にあいつらで大丈夫なんですかねぇ」
「ふむ、仕方ないでしょう…。あれであいつらウチの看板張ってんだから…」
「あんな色ものの何処がいいんですかねぇ」
「実力と才能…じゃないかなぁ」
…確かに実力は認めるがあれじゃサーカスじゃないか。
劇団の先輩団員はチッと舌打ちして3人の楽屋から目を逸らした。
何はともあれ
四季劇団、“色ものトリオ”
「忍たま」出演おめでとう。
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