女子校コース(落乱)

□第一話 私の親友
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「らーん!おはよ!!」


通学路をタッタッタっと足音を立てて挨拶をしてきたのは、昨日仲良くなった“だんだん”こと、団樹だった。



「おはよう。」



振り向いて挨拶を返すと、団樹は不思議な顔をして私の横を見つめる。

「うわぁ。あんためっちゃべっぴんさんだな!名前なんてーの?」

お前はナンパ師か、と突っ込みたいほどの男前さできり子に名前を聞く。


「摂津きり子。」


馴れ馴れしい団樹に対してきり子は短くそう答えた。


「きり子か!いい名前だな☆俺は…」

「行こっか、らん。」


団樹の言葉を無視してスタスタと前を歩くきり子に私は慌てて追いかける。


そしたらすかさず後ろから団樹も追いかけてきた。

「え〜〜〜ちょ、ちょっと待ってよ!」

焦ってきり子に近づく団樹はまるで犬みたい。

おかしくなってプッて吹き出すと、団樹にいぶかしげに見られた。


「何笑ってんだよ〜」


不満を口にして涙目になっている団樹。

それを見てきり子もふふ、と笑った。



「君、おもしろいね。」

ふんわり笑うきり子に団樹は言葉を失う。

その顔は赤く染まっていてまるで恋をする乙女みたい。



―――ああ、まただ。

きり子は無自覚に人を魅了するものを持っている。

中学のころもそうやってどれだけの人を魅了してきたか。

そして必ずと言っていいほど、魅了された人間はきり子を崇拝し、そしてきり子の良いように使われるのだ。

このような事を言うときり子に怒られそうだけど、実際の話なんだからしょうがない。


あーあ…可哀想に…。

きっと団樹も中学の時の子たちの二の舞になるよ…。


私は哀れみの目を団樹に向けて、小さく息をついた。




―――ホントに、きり子のこの性質だけはどうにかならないものだろうか…。





いまだに赤い顔の団樹とそれをからかうきり子を見ながらそう思った。




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