シアワセノカタチ
□アイノカタチ
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あたしにはあたしだけのナイトが居るの。
いつだって
どんな時だって
あたしの味方
喧嘩の始まりなんてどうせ些細な事。
きっと、明日には喧嘩した事さえ忘れてしまう…きっとそんな下らない事。
でも、
でもでも
このシェリル・ノームに撤退の文字は存在しないのよ!
アルト!!
アルトとシェリルは額が激突しそうな近距離で対立していた。
お互い悪いとは思いつつ引くに引けない状態。
罵倒し合う、殴り合う…そんな可愛いいじゃれあいではすまぬほど、緊迫していた。
はっきり言って大人げない二人。
そんな二人を不思議そうに3つになったばかりの愛息子が、じーっと見上げていた。
大きな空色の瞳が二人を映し出す。
そんな息子にいち早く気が付いたシェリルがニヤリと笑った。
シェリルの綺麗な瞳からポロリと雫が零れて、息子の頬にポタリと落ちる。
「…あ?何だお前急に」
アルトがわたわたしだした時には、シェリルは完全に泣き出してしまった。
慌ててシェリルの涙を拭おうとしたアルトの膝頭をドンと押す存在がいた。
空色の瞳を怒りの色に染めた愛息子だ。
小さな両手をめいいっぱい広げて、涙を貯めて仁王立ちする姿にアルトは過去の自分を見た。
「パパ!めーっ」
舌っ足らずな言葉でも母親を守ろうとする姿にアルトは愛しさを覚えて、シェリルとの喧嘩はどうでも良くなってしまった。
愛息子の後ろでしてやったりな顔で笑うシェリルを見ても。
アルトは苦笑して、小さな体を抱き上げた。
「大丈夫だ。パパはママを虐めてないよ」
「ない」
「ああ、ない」
安心したのか天使の笑顔で、アルトに微笑みかける。
『可愛いい』
親バカ二人はほだされて、しばし愛しい息子を見つめる。
「…シェリル」
「仕方ない…わね」
シェリルは愛息子の空色の光を長い指先で隠して、アルトに触れるだけの仲直りのキスをした。
あたしの小さいナイトは、いつだってあたしの見方よ。
出産に躊躇してる女の子
居るかしら?
シェリル・ノームがアドバイスしてあげるわ。
産むべきよ。
きっと素敵な貴女だけのナイトが産まれるわ。
シェリル
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