シアワセノカタチ

□アイノカタチ
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子供って本当にミラクルな存在


優しい気持ち

愛しい気持ち

幸せな気持ち

毎日が幸せで
幸せすぎて―――――――――――――――――――……



レコーディングが思った以上にスムーズに進み余裕の出たシェリルは、早目に切り上げて忙しくて構ってやれなかった愛息子の雪人を連れて、散歩に繰り出した。

抱っこした雪人の柔らかな髪から幼子特有の甘いミルクのニオイがして、シェリルは愛しさで胸がいっぱいになかる。
アルトに対する愛しいさとはまた違った、愛しさを教えてくれた存在。
両親のどちらに似ても美形間違い無しなのだが、雪人は父親であるアルトに似た様だ。

アルトのミニチュアだわ

と、シェリルは事ある毎にアルトをからかった。


「パパー」

大人しくシェリルの腕の中に居た雪人がジタジタと暴れ出した。

「こら!雪人。暴れないで」
「パパー」
「え?アルト?」

地面に雪人を下ろすと、急に駆け出した。

「え?ちょっと」

トタトタとした走りは、シェリルがあわてるくらいに危なっかしい。
「パパー」

雪人は両手を広げて、艶やかな髪を高々と結い上げた青年の背中に抱き付いた。

「あ!?ユキト?」

「アルト!あんた何やってんのよ?」
「ネコー!かわいー」
「猫?」
雪人の視線の先には、真っ白でホワホワの毛並みの仔猫を同じ毛並みの親猫が、優しく舐めて、毛繕いをしていた。

「…ママとユキトみたいだろ?」

その綺麗な笑顔にシェリルは痛々しさを感じた。


『このマザコンは自分と母親を重ねていたに違いないわ!仕方のないアルトね』

ため息を付いて、シェリルもアルトの隣にしゃがみこんだ。

「パパー泣かないで」
「いや、泣いてないよ」

泣く

は、涙はを流す事だけではない。幼さ故の敏感さからか、雪人は人の感情の機微に敏感だ。

ペロリ

雪人はなにを思ったのか、アルトの頬をピンクの舌でペロリペロリと舐めた。
まるで、親猫が仔猫にする様に。

「ユキト!?くすぐったい」

その光景を笑いながら見ていたシェリルもアルトの反対側の頬を雪人の真似をして、ペロリと舐め出した。
「なっ!シェリル!!」
息子とは違う妖艶な感覚にアルトは赤面して、わたわたと慌てた。
「大丈夫よ。何があってもユキトとあたしはアルトの側に居るわ」
「いるー」
シェリルの語尾を真似た雪人は、甘える様にアルトの首に両手を回して、抱き付く。

甘えん坊め

アルトは苦笑して、小さな体を抱き締めて、立ち上がった。
シェリルの華奢な手首を掴み立ち上がらせる。

「…サンキュー…な」
照れ隠しにアルトは、雪人の柔らかな頬をペロリと舐めた。

あたしには?

せがむ様にアルトの指先を引っ張るシェリル。

マジかよ

呟きつつも
愛しい女の甘やかな頬をペロリと舐めた。

「パパママ真っ赤」

愛息子の鋭い突っ込みに苦笑して、今度は親子3人で歩き出した。
優しい風が頬を冷ましてくれるまで。



――――――――――――――…
それがいつか
壊れてしまう不安に


駆られる


…なーんてね。
ちょっとアンニュイな気持ちにひたってみただけ。


心配無用!

毎日幸せだわ。

だって、だれの家族だと思っているの?


幸せじゃないハズが無いでしょ!


シェリル




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