シアワセノカタチ

□アイノカタチ
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シェリル・ノームの1日の終わり。

それは、ベッドの上でブログを綴る事。
思った事、感じた事を包み隠さずシンプルな言葉で。
嘘のない潔い言葉は、ファンやそうでない奇特な(シェリル弁)人種にも好評で、アクセス数は日々うなぎ登り……だと、マネージャーが興奮して教えてくれた。

何がそんな面白いのか不思議だが、文を綴るのは、歌を唄う事に似てる。

ブログのネタで何気に人気なのは、シェリルの趣味や活動報告ではなく………

ちろりと視線を横に向ける。
アルトが爆睡しいる。綺麗な顔に似合わない豪快な寝姿にシェリルはおかしくなってクスクスと笑った。
さらに視線をさ迷わせて、小さな姿を探す。「?」
布団をめくると、淡いピンクの金髪がのぞく。
絶対離れない!そう主張する様に紅葉みたいな小さな手で、アルトのパジャマにしがみ付く。

そう。1番人気はこのおちびちゃんネタ。パパは美形バルキリーエースパイロット。ママは銀河の妖精シェリル・ノーム。
両親の良性遺伝子のみで構成された様な天使のルックスに可愛いい声。サラサラの髪に利発な頭脳。


親バカ上等!!!


が、シェリルのスタンスだ。

「苦しくないのかしら?」

アルトのパジャマにしがみつく愛息子の前髪を優しいかきあげて、頬に優しいキスを落とす。


フロンティアで出会い、傷付き傷付け……失われたモノは多く、今でもシェリルの空虚は埋まらない。それでも……1番欲っして、1番あきらめていた


家族


を、手に入れた。


アルトの存在が、息子の成長が、少しずつだがシェリルの傷を癒してくれる。


「………シェリル…まだ起きてたのか?」
「アルトごめんね起こした」
「いや…こいつと同じ時間に寝たから」
誰に似たのか、ベッドに転がせばバタンキューな楽な子供だ。ただしシェリルかアルトが一緒に寝ればの話しだが。
1人息子の上、両親を知らないシェリルと父親が厳しかったアルトだ。知らずと甘めになるのは仕方のない事。
ただ、甘えん坊なだけではなく、聞き分けの良い利発な所もあるからアルトもシェリルも可愛くて仕方がないのだが。
「明日も早いんでしょう?」
「ああ、明日は新人を歓迎する日なんだ」
アルトがニヤリと楽しげに笑う。
「お手柔らかにね。隊長さん」
歓迎とは名ばかりのしごきの空中散歩。心得ているシェリルは仕方のないアルトね。と、内心苦笑いをする。

アルトの影が落ちてくる。シェリルは瞳を閉じて、キスを待つ。

おやすみのキス。
アルトの柔らかい唇を感じながら。シェリルの1日は終わる。



今日もダンナとムスコは絶好調。

シェリル

そう。締めくくり。アルトと息子と同じ穏やかな眠りに落ちていく。



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