記念文
□30000(前編)
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「……アルト…若いわ…ね」
崩れ落ちる綺麗な裸体を両腕で抱き止めて。愛しさと揶揄を含んだ声で囁く。
「返す言葉もないよ…」
「ふふふ…なーんてね。余裕もないくらい欲しがられるなんて、女冥利に尽きるわ」
「…悪りぃ……って…おい!シェリル?」
シェリルはイタズラっぽく空色の瞳を輝かせると、下肢の繋がりを解かぬままアルトの腹の上に馬乗りになった。
赤面する美貌を見下ろして、艶然と笑う。白磁の肌と華奢な肩。豊かに盛り上る美乳、その頂点には愛らしい果実。ダンスで鍛えた腹部…アルトの欲望と己の愛液で濡れた下肢。全てを惜しげもなく晒して、全てで誘惑する。
こんな姿を見せるのは貴方にだけ。
笑みを刻む唇…しかし、瞳はいつも真剣で。シェリルとのSEXは、抱いてるつもりがいつも抱かれてる錯覚を覚えて…負けず嫌いのアルトの感覚を刺激する。
細い指先で頬を撫で上げ…舌先で耳朶をねっとりと舐め上げられる。
ムクリ
「くっ」
と、底無しの欲望が立ち上がる。気を良くした指先がイタズラに動き汗で湿る胸を擽り…小さな乳首を長い爪先で引っ掻く。何度も何度も…赤く熟れるまで。
「!?…ひゃ」
好きにさせていたアルトが突然、シェリルの形の良い尻を両手で掴み1度大きく突き上げた。
『クプッ』
濁った音が響き、白濁がシェリルの蕾から溢れて、太ももを濡らす。
「ん…ふっ」
お漏らしをした錯覚に陥りシェリルはフルリと羞恥に震えた。
「…アルトは…意地悪ね」
「よく言われる」
誰に言われたかなど、思い出したくない…少し乱暴な仕草でシェリルの柔らかな髪を掴み引き寄せて、キスをねだる。
誤魔化したい時のアルトの癖。シェリルはいつも深くは追及せずにそれに答える。
アルトとのキスは気持ちが良い…肌を合わせるのも下世話な話、彼のモノだと思うと、グロテスクな彼自信もニガイだけの先走りも甘く美味しく感じるのだから、自分は、V型細菌よりアルトという男に深く深く蝕まれて居るのだろう。
ただただ、愛しい
深く深く、愛してる
彼の気持ちがここに無くても…今だけは、その時か来るまで。
痛む胸を撫でる代わりにアルトの胸板に押し当てて…誘惑する。
「…シェリル?」
「アルト…お願い」
今だけは、あたしだけを見て。あたしだけを感じて…
「どうした?」
「突い…て?」
「くっ…お前」
突き上げて。
思考を追い出して。
何も考えたくないの。動物的に…ただ、愛し合いたい。
シェリルの望みを叶えるべく再び腰を進めるアルト。快感で、深く閉じられた瞳に己を写したくて、今度はシェリルが髪を引きキスをねだる。
「んっ…ふっ」
互いの唇を貪り深く深く体を合わせて、
今だけは
悲しい密事でもシェリルは震えるくらいに幸せだった。
「…泣くなシェリル」
「泣いて…なんて………いないわよ」
アルトはシェリルの強がり事抱く。
夜はまだ始まったばかりだ。
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