01/03の日記

22:14
アリウム
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「シェリル…」

華奢な背中があまりにも儚すぎて、このまま消えて無くなるのではないか?そんな不安にアルトは震えた。

この少女が、一体何をしたと言うのだろうか?幼くして両親を目の前で無残に亡くして、1人で生きて来た。負けずに生きて、生きて、生き抜いて…少女を奈落に突き落とした元凶が、唯一母とも姉とも慕った人だったとは…

何も出来ない不甲斐なさに憤りと無力感を感じて、アルトはシェリルの華奢な背をただただ抱きしめた。

シェリルの無限の悲しみに濡れた瞳を見つめる。自然に引き寄せられて、優しい、触れるだけのキスを交わした。欲の伴わない労りの…アルトの精一杯の思いを込めた。

「……もう一度」

シェリルが、甘える様にキスをねだる。アルトは愛しさを覚えて、もう一度触れるだけのキスを与えた。

悲しみの夜が静かに明ける。





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