♂x♂

□副流煙
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「ふうっ…今日の仕事は厄介だったなー。ちょびーっとだけ、疲れたぜ」


今日の星は女と子供が大量だった。それを始末するのはあんまり得意じゃない

子供は、苦手だ


「げほっ、ん?煙草…誰か吸ってたっけな」


煙草の煙が何処からともなくふわふわ漂って来る
懐かしい、たまに匂うこの煙の香り…


「…隊、長」


最近隊長は煙草に凝って居た。
前は『体に悪い』って全く吸わなかったのに

今となっては仕事帰りに煙を漂わせる姿をよく目にする。


「隊長?お疲れ様です。今日の星は人口も多くて少しだけ、厄介でしたねー」


我慢出来ずに声をかけた
今日こそ煙草について聞いてみよう。


「あぁ…ジース。まあ、ガキと女が多くて手を焼いたが報告する分には何の問題もない」


「隊長?あのー、その…それ…ってー…」


俺は、遠慮がちに煙草を指さして口を開いた


「…これか?」

隊長は煙草を挟んでる方の手を少しだけ挙げてみせる

「はいー、」

「これがどうした?」

「いやー、最近までは体に悪いと言ってたのに、また…どうしてかなーっと」

「そうか、心配かけてすまんな。理由はない
ただ最近胸が苦しくてな
理由は解らん
近々、お前達を危険に晒す事になりそうだ」


隊長の予想外すぎる言葉にドクン、と心臓が跳ねる
そんな筈は、無い。


「え…?」

「嫌な予感がするんだ。
我々より強いお方はフリーザ様だけだ。だが、そう簡単には行かない相手が近々現れる、気がする」

「た…隊長…!俺達はギニュー特戦隊ですよ?!そんな心配は、一っ切!無用です!」

「…そうだな。」


横目で俺を見る隊長は、まるで我儘なガキを宥めるかの様に優しく笑った


「…っ」


沈黙が続いて何を話せば良いのか解らない
いつもみたいに笑い話を出来る雰囲気では、もちろんない


「…」


でも何故かその隊長の言葉には現実味が有りすぎて。少し怖くなった。

隊長がこんな話しをするのは初めてだから妙に現実味が有っただけだと。
考えるしか術はなさそうだ


『おーい隊長!ジース!
久しぶりにフリーザ様がお呼びだぞ!予備のスカウターを持ってナメック星に来てほしいってよ!』


リクームが大声で叫んでいるのが聞こえてきた。


まさか…な

バッドタイミングなリクームの声が悪魔の囁きに聞こえたのもただの幻聴

今日の俺はおかしい…


「…隊長!フリーザ様が…ナメック星とやらへさっそく向かいましょう!」

「ナメック星…あんな平和な星にフリーザ様は一体…
とにかく向かうか」


顎に手を当てながら短くなった煙草を足で消して立ち上がる。


「はい!」



隊長の言葉が頭から離れなかった理由は後々、嫌と言う程解らされた。

嫌な予感は俺達を簡単に飲み込む


勘で未来を読むなんて、隊長はやっぱり隊長にしか務まらないと言うのに。

待っても待っても、
隊長は二度と俺達の前に現れてはくれなかった



ーENDー

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