♂x♂

□暑い日だから
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てくてく…
「はぁ…あついな…」


そう呟いている間に目的のドアの前に来ていた


―コンコンッ
「…ジース?俺だ。」

『……』

今日もまた、応答無し


ードンドン!!
「おーい!…ジース!せっかく久しぶりの休みだってのにまだ寝てるのか?
起きろー!!!!」

『あー…もう!!!起きてるよ!ちょっと待って。
今開ける。』



―ガチャ
「よぉ…グルドか…」

「…なんだジース、お前その態度は。起きてるならさっさと返事しろ!」

「クーラー付けすぎて体中がだりぃんだ…」


シャツを捲りあげてお腹をポリポリ掻きながら、ジースはだるそうに半分だけ目を開けたり閉じたりした

器用な奴。


「あーそう。一人で食べるとするかな、ア イ ス。じゃあ。またな」


そう言ってくるっと方向転換して帰る素振を見せる。と、案の定目をパッチリ開けて飛び付いて来た


「まじ!?ちょーっとちょっと!グルド愛してるぜ!さあ、入れ入れ!」

「…はぁ」

「いやあ、
本当に以心伝心だよな」


…態度急変。



俺の手からヒョイッと袋を取り上げてクーラーがききすぎた部屋に戻っていく。いやしい奴め…



「おー!チョコクランチかチョコチップだ!!さすがグルド!趣味が合う!
グルドはどっちがいい?
俺はクランチだな!」

「ジース、先選べよ」

「…いいのかー?!!」


目をうるうるさせながら祈りのポーズをしているジースがいつも以上に可愛くて暑い中わざわざ来て良かったと思わせてくれる。


「もう…良いからさっさと食べろ!溶けちまう!」

「いっただきまーす!!!」


もちろんジースの手にはクランチ。

隣にジースとアイス。別世界の様に寒い部屋。
こんな冬部屋で食べるアイスは格別だ。




「ジースよぉ…ジースは…俺と居て楽しいか?」


アイスに夢中のジースを横目で見ながら前々から考えていた事を、聞いてみた


目が合ったから、首が折れそうになる位に俯く。


俺は他のメンバーに比べると身心共に劣ってるからジースが満足してないんじゃないかと不安なんだ



「はぁ?楽しいよー…悪いか?気にすんな!!
俺はぁ…俺は、一緒に居られるだけで幸せだ…」

「…ありがとな」


「当たり前だろ?……。」

「………」




少しの沈黙を破ったのはジースの方だった。


「こうやって部屋に居ながら、アイスも手に入るしな♪なんちって」


鼻唄まじりの楽しそう声。でも、その冗談が今の俺にとっては今までで一番の愛の言葉に聞こえる

ジースはいつも俺に優しい。俺が落ち込んだ時には必ず手を差し延べてくれる


それも、
人々を地獄のどん底に突き落とし、星を綺麗さっぱりにするのが仕事だとは、
到底思えない笑顔で。


「だな…これからはチョコクランチ毎日持ってきてやるよ。」

「じゃあ俺は毎日ドアの前でグルドを待つぜ」

「そうかよ」



ーENDー

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