♂x♂

□こんな感じで
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地獄にやってきてからどれ位の月日が経っただろうか。鬼に監視された平凡な日々は、生前と比べ面白味の欠片もない


「はぁ…」


岩にもたれかかり小さく溜め息を吐くと同時に、ギニュー特戦隊がどこからともなく現れた。


「つまらない!そんなフリーザ様へ、私共から愛のプレゼントを贈ります!」

「「「「フリーザ様愛好隊!
ファーーーイッ!!」」」」

「また、ですか…」


また心を読まれてしまった。

ギニュー特戦隊御一行はまた意味の解らないかけ声付きで、かけ足をして拳を天に突き上げている。


そういえば『愛が有れば読心術も出来る』とかなんとか、叫んでいた気がする


「フリーザ様!このギニューが命をかけて考えた萌えをプレゼント致します!」

「今回のは凄いですぜ!」

「そうなんです!」

「御期待ください!」


大袈裟なギニューの叫びに、皆で合いの手を入れる面々。

地獄の一角は急に賑やかに。

この間は"笑い"だったが、今回は"萌え"らしい。どちらかと言わずでも強面な彼等の口から出るにはあまりにも違和感が有りすぎる気もするが。


「は、はぁ」

「そんな緊張なさらずに!楽しみにして頂けるとはこのギニュー、光栄でございます!」


涙で目を輝かせ胸を張るギニュー。この人はどこまでポジティブなのだろうかと、心の中で呟き溜め息を吐いた

退屈と言うのは事実で、たまには部下に付き合うのも悪くないかと思い直し頬を軽く描いて笑みを作る


「なんでしょうか。楽しみですねぇ(棒読み)」

「では、さっそく!
ごほん…萌えよ、来い!」

パンパン手を叩きながら自信満々に叫ぶギニューに合わせ、残りの隊員もパンパンと手を叩く。

渋々影から現れたその姿は何とも言えない物であった。


「な、なんですかその格好は?」


普段自分は冷静で基本何にも動じない方だとは思うが、これには驚かされ、思わず目を丸くする。


「た、隊長が…あの、その…着ろと言うので…」

「ふははは!どうでしょうかフリーザ様!」


出てきたのは、確かに最初から居なかった赤いマグマこと、ジースだった。


「そ…そうですね」


何処かに隠れていたようだ。

しかも、その格好が格好で。アンダースーツにフリフリの白いエプロンとゆうなんとも不自然な物。

これを、自分に一体どうしろと言うのだろうか。

かと言って、せっかくの可愛い部下達の気持ちを踏みにじる訳にもいかず、パチパチと手を叩いて笑顔を見せる


「わ、悪くないんじゃないですかね。えぇ。」


まさかこんな所で、こんな理由で空気を読まされるとは思ってもいなかった。

バサッとエプロンを外しながら、ジースは嬉しそうにガッツポーズ。


「勿体無きお言葉!!
えっとですね、次は…俺が考えました!!!」

「ま、まだあるんですか?」

「勿論です!
こんな感じで次々見て頂きますよ!!」

「お楽しみ下さい!」

「良い暇潰しになるでしょう!」

「はっはっは!!」

「そうですか…」


一体いつになったら帰れるのだろうか。頭を抱え、ひっそりと小さな溜め息を吐くフリーザであった。


ーENDー


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