♂x♂

□否、待遠し
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外では雪がハラハラと舞う季節。内はグルドの部屋。こたつにストーブ、みかんにココアという完全防寒。


「もう12月か…」


カレンダーを見ながらみかんを頬張り呟くリクーム。


「もうすぐ正月だな」

「その前にクリスマスだろ!?ケーキ!ケーキ!」

「寒い…」


一同はココアを啜ったり、みかんを食べたり、ストーブに手をかざしたり、こたつに入り寝転んだりと、ささやかな休日を楽しんでいる。

基本的にギニュー特戦隊は寒さには弱いらしい。


「今年は何人がお年玉、ねだりにくるだろうな」


隊長のそんな何気無い一言言葉に、ジースのみかんを食べる手は止まり、寝転ぶグルドは体を起こし、バータがストーブにかざしていた手はだらんと垂れて、リクームはココアのカップをカタンとテーブルに置く。

そして、 


「「「「「はぁ…」」」」」


見事なまでに、全員の溜め息が重なった


「溜め息吐くと、幸せが逃げるんだぜ」


ポツリと呟いたバータに、こたつで項垂れるジースは乾いた笑いを返す。


「そりゃお互い様だろ…」

「それもそうだな」


そしてまた、二人は顔を見合わせ大きく溜め息を吐いた

しばしの沈黙。
皆が考える事は、ただ1つ。

正月に酒や甘味を、味わう暇すら無かった去年のあまりにも酷い有様を思い出していた。

日が経つごとに、その数は増えてゆくばかりで。


「今年は一体…
何人増えるんだろう」

「正月は要らねぇ。
クリスマスだけで良いや」

「楽しい楽しいクリスマスもケーキも、不味くなりそうだぜ」

「何か俺、まだ自分がお年玉貰える立場の時から毎年あげてた気がする」

「全くの同じ意見だな。何年間あげてると思ってんだ」

「チョコ風呂に毎日入れるくらいかな…」


皆は顔を見合わせて苦し紛れの苦笑いを浮かべる。
そしてずっと黙り込んでいたギニューが口を開いた


「クリスマスが終わってすぐ、長期遠征…行くか」

「え、」

「それってまさか…」


目を丸くしていた面々のさっきまでの苦笑いは、徐々にパァッと明るい笑顔に変わっていく。


「さっすが隊長だな!」

「では、決まりだ」


ギニューは深刻な顔でゴホンと咳払いをしてみせたが、その表情はお年玉と言う恐怖の輪廻から抜け出せた解放感に晴れ晴れとしていた

と言う事は
隊員達だけの、秘密…


ーENDー

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