♂x♂

□金魚のフン
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何も無い。何もしない。ただそこに有った岩に腰掛けて黄色い空を眺めたり、

小さい石を探しては何処までも蹴ってみたり、笑い合う魂や肉体を眺めていた


「おーおー、お前!」

「…」


久しぶりに掛けられた声は明るく浮き立っていて、振り向くに値しない。

と、ゆうか誰かの声を聞くのはいつぶりか…戸惑っていた。


「えーと…ブロリー!だったっけかな?、お前。」

「…」


わざわざ御丁寧に顔を覗き込んでくる長髪の男。

誰だろうか
こちらは全く記憶に無いが、この男はどうやら俺の事を知っているようだった。


「まさか、話せないのか」

「…いや、」

「よう、ブロリー」


ブロリー…
そうか、そうだ、そういえば、そう呼ばれていたな

すっかり忘れていた


「…誰だ?」

「カカロットの横で寝てた、ガキだろ?今の今まで忘れてたけどな。変わって無さすぎてすぐ思い出したよ」

「カカ、ロット…!?」

「俺は一応あいつの兄貴で、ラディッツ。よろしく」


こいつが?この弱そうで長い髪が鬱陶しい馬鹿が…か?


「俺に二度とカカロットの話をするな。死にたいなら別だが」

「いやもう死んでるから。それに俺はカカロットに恩も無い。仲間だ仲間!な、仲良くしよーぜ」

「…」


本当に、馬鹿らしい。


「なぁ、お前さー、絶対友達一人も居ないだろ?」

「死にたいのか」

「だから死んでるって」


ラディッツと名乗る馬鹿は、話しながら飴やガムを差し出して来て、俺を見てはニコニコ笑う。


「もう良いだろう。
そろそろ離れろ、馬鹿が」

「意外に頭良いんだ。これでも、お前よりはな。」

「離れろ」


人と話すのは久しぶりで、息が詰まって仕方がない


「嫌だね、仲良くしようぜ?サイヤ人同士さ。俺、寂しいじゃん。一人だし。」

「馴れ合いは嫌いだ。」

「あっそ。」


納得した様な事を言いながら、へらへら笑うばかりで動こうとしないラディッツ…まさに予想不可能とはこいつの事だ。


「離れろと言ってるんだ」

「やだね」

「…」


それからと言うもの、
ラディッツは何処へ行くにも付いてくる金魚のフン状態になった。

俺は相当面倒な奴に気に入られてしまったようだ。


ーENDー

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