♂x♂

□好き、嫌い
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隣で嬉しそうにパフェを頬張るジースをジッと見つめた。
なんとゆう馬鹿面だろう


「お前…
パフェがそんなに嬉しいのか」

「嬉しいよ!それにさ、バータの奢りだから尚更!」


こいつは…阿呆だ。
だから、何かとリアクションもデカいし声もデカい。

今も食堂中に響き渡る声と笑顔に耳を傾けながら、好物のチョコレートを噛った。


「…幸せそうだな」

「幸せだもん」


だから、からかうと楽しい。そして何より解りやすい


「ジース。」

「なんだよバータ」


名前を呼べば名前で返す。こんな平凡な幸せが他に有るのか、今はまだ、想像出来ない。


「お前、俺の事好きか?」

「は…?!な、何言ってんだよ、ととと友達としてだな、その…!うん、そうだ友情だ!仲間だ!!!」


本当に解りやすい。ジースは動揺すると、よく話す。


「いいや、好きだな」


確信なんか無いけど。自信も無いけど。好きなのかなとか思った事も無いけど。からかう為に言ってみる


「好き…じゃねぇし」

「じゃ、何?」


それはだな…とか、えっと、とか。ぶつぶつ呟きながら顔は下がっていき、

今では首が90度に曲がって膝を見ている状態。

そんで、首をパッとあげたかと思うと…


「きらい、だ!」


そう言う。でも俺は傷ついたりしない。だってその顔に書いてあるから。『嘘だ』って。

真っ赤な顔で、念じる様にジッと見てくる目は今にも泣きそうで眉毛は切なげに下がっている。


「あっそ。」

「いや、やっぱ嘘!」

「知ってる」

「あ?騙したのか!」


さっきまでの切なげな顔は何処へやら…今度は眉を吊り上げて膨れっ面。

頬杖をついて、スプーンを握るジースに微笑みかける。


「じゃ、好き?」

「だとしたら…悪いかよ」


その言葉を聞いて、俺は笑った。ジースが可笑しいんじゃなくて、自分が可笑しくなったから。

からかうつもりが、俺の心臓はバクバクと音を立てていて今にも破裂しそうだった。


「ジース、
新しいパフェ頼んでやるよ。」

「良いんだ!これで」


ジースが守る様に自分の元へ近付けたパフェは、もう溶けている。

だから俺は、それも食って新しいのも食えって言ってやった



ーENDー

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