Event

□シアワセの楽しみ方
1ページ/1ページ

コンコンッとドアが叩かれる。

「皇〜子。」

返事もしていないのに入ってきた。
しかし、いつもの事なので、諦めている風情のルルーシュ。

「…何用だ、ロイド。」

キッと睨むルルーシュ。
今の時間は深夜1時。こんな非常識な時間の来客者を、歓迎などしない。

「やっぱ怒ってます?でも、今日は時間ないんですよぉ〜。だから、今来ちゃい
ました。」

そう言って、袋を見せる。

「誕生日、おめでとうございます、皇子。この時間にケーキはまずいと思ったの
で、プリンですけど。」
「…誕生日?」
「日付が変わったので、今日は12月5日ですよぉ〜?」
「…そうか、すっかり忘れていたな。」

皇子らしいですね〜と笑いながら、袋からジュースとプリンを出すロイド。
小さなテーブルを挟んで、向かい側に腰を下ろす。

「はい、じゃージュース持って下さぁい。かーんぱぁい」

へらへらと笑って、ペットボトルを掲げる。
なんとも、雰囲気が出ない。
まぁ、それもロイドらしいが。
そう思いながらプリンを食べようとしたルルーシュの手が止まる。

「…おい、ロイド。」
「何です?」
「このプリン、手作りか!?」
「え、そうですよ?」

ルルーシュの背中を、冷や汗が伝う。

「…まさか、へんな薬入れてないだろうな…。」
「さすがに誕生日プレゼントですからね〜。迷ったけど、止めときました。」

本当に入ってないんだろうな、と疑いながら、口に運ぶ。

…薬は入っていない…と思う。
しかし…

「おいしくないな。」
「それは皇子の査定が厳しいからです。」

きっぱりと言い切るロイドに、思わず笑いが零れた。

「仕方ないな、お前の誕生日に俺が美味しいプリンを作ってやるよ。」
「それは楽しみだな〜。」

微笑むロイドを見て、つられて微笑むが、頭の奥は意外にも冷めていた。

未来を楽しみにできる日が、くるなんて…
思いもしなかった、と……

あぁ、それでも
幸せだな、と思えるから

ありがとう、ロイド…


―終―
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ