吟遊詩人の愛

□前世との交信
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「これは夢?違う…
これはずっと遠い現実」
お前も少しは思い出した様だね
二人が生きた幾つもの時代
全て教えてあげましょう
二人の哀しい前世の記憶

時を越えて
何度も二人は逢っていた
私はいつも閉じ込められ監視されて
人形以下に扱われていた
そんな私はあの人の横顔を見つめる事しか出来なかった
だけどずっとあの人が好きだった

私が自由に触れたくて飛び出した時
皆は刃(やいば)を向けたけれど
あの人だけは背中を向けた

「そこからは…知ってる…

凄く大きな音がして
全身に痛みと熱が広がった
暗くなっていく視界
あなたの躰に穴が開くのが見えた」

そうだ

「ごめんね
いくら手を伸ばしても
あたたかい水溜まりで滑って
あなたに届かない

酷い寒気に襲われて
あたしは意識を手放した」

さあどうする?
出逢った以上運命からは逃れられない
結末は変えられない

「そうかもしれない
だけど違う
あたしは生きてる
出逢えてよかった」

ならば覚悟を決めなさい
思う様に進みなさい
私とお前は同じ魂
記憶に惑わされない様
明日を見つめて
歩きなさい

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