ソラノウタ

□侍
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ある人が俺に言った

「お前は侍みたいだな」と・・・

―己を犠牲にしてでも

護り通そうとするものがある―

正しい目で物事を判断し

周りに流されない心がある

昔からそうだったかもしれない

だけど

俺はそう思われる程強くない

それでもある人は言う

「お前にはお前だけの

武士道(ルール)があるんだろ?」と・・・

―他人が歩む道は己の道ではない

進む道は己で決める―

目の前の壁は

容赦なく己の刀で切り裂いていく

何故彼らが戦うことを止めなかったのか

何故死を恐れなかったのか

それはきっと・・・

信じるものが消えていくのが

信じていたものを失くすのが

一番恐ろしかったから

戦うことを誇りに思っていたから

同じものを目指す仲間が居たから

一番護りたいと思う者が在ったから

俺なんかが侍を語っちゃいけない

そう笑って言えば

ある人は俺に言葉を残して消えた

「侍は命を捨てた奴らじゃない・・・」

―必死に生きた奴らなんだよ―

それは俺に

必死に生きろと言っているような気がした・・
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