藍澤さんが、
□ほら、また逢えたでしょう?
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平成××年 ×月 ××日、藍澤 魅愛は死んだ。
その年のWCで誠凛という高校が優勝を納めたその日の帰り道、急に悪化した病で倒れた。
そこからはあまり何も憶えていない。
真っ白なセカイに居た筈なのに、気が付けば真っ暗なセカイに居て、彼女は迷っていた。
新しい生を受けるか、そのまま此処に居るか。
彼女は何となく解っていた。
このままいけば、自分は転生するのではないか、と。
ぞくりと鳥肌が立ち、思わず目を閉じた。
何も無い真っ暗なセカイに独りと、様々なものがあるカラフルなセカイに独り。
前者も後者もあまり変わらないのではないか。
しかし、こんな何も無い所に永遠に独りだなんて、つまらないにも程がある。
そっと目を開けた。
生を受ければ、前世と何か変わるのか。
嗚呼、せめて病持ちは避けたいな。
気に入っていた著者の新作は読めるだろうか。
某菓子は健在だろうか。
今度こそ、平穏な日常が手に入るのだろうか。
( ...否、最後のは絶対無理だな )
そう自嘲気味に笑ってみせれば、彼女は新しい人生を歩み始める為に一歩踏み出した。
→その日、彼女は死んだ。
( 藍澤さんが、転生する話 )
( 退屈する暇などない位に、彼女のセカイは段々と彩られていく。 )