藍澤さんが、

□部活仲間が超絶ヤンデレだった話。
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可笑しい。

可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい!!!

いくら何でも可笑しいだろう。


これは、俺の部活仲間が超絶ヤンデレだったという話だ。





あれは部活が終わった後の事だ。

俺は女の上、マネージャーという身分だが、レギュラーメンバー達と同じ練習をこなしている。

当然その日も、いや、その日は特に疲れた。

身体中、汗まみれ。

早くシャワールームに行きたいと思ったが、まずは呼吸を落ち着かせるのが先だ。

タオルで額の汗を拭い、その場に座り込む。

―――嗚呼、汗がベタベタしていて気持ち悪い。

息を深く吐いた、その時だった。


「ねぇねぇ、藍ちーん」


のし、と急に背に重み。

ついでに俺の首に腕を回してくるソイツは、紫原。

レギュラーメンバーの一人である。

御解り頂けるだろうか?

つまりは紫原も汗まみれ。

ついでに密着している為、非常に暑い。

俺は敢えて冷静を装ったような声色で言った。


『...敦、暑い。それに汗でベタベタなんだから早くシャワールームに行っておいで』


それに対する紫原の返答が、こう。


「良いじゃーん、俺別に藍ちんとだったらヘーキだしさー...。...あ、ねぇ、お菓子食べよー?」


コイツは一体何を言っているのか。

そういう問題じゃないだろう!

そもそも答えになってないじゃないか。

そう思いつつも背の重みに耐えていた。


「紫原、止めておけ、藍澤が重そうにしているだろう?」


ふと、後ろから声がした。

振り向けばそこには、


「...赤ちんじゃん、何、別に藍ちんが止めて、って言ってないから良くね?」


我等が主将、赤司 征十郎の姿が。

赤司は胸の前で腕を組んで、此方を見詰めたままだ。

どうしたのか、と俺も赤司を見詰めた。

あと、紫原。

本当は重いから止めて欲しい。

赤司は黙って此方に歩み寄ってくる。

やがて足を止めれば、床に座り込んだ。

―――隣かよ。

赤司は俺の左隣に座ったのだった。

ついでに俺の腕を取って、自分の腕と絡ませやがった。

ほら、あの...よくカップルがやるような......あんな具合に。


『......あの、征十郎......暑い、から......』


「俺はそんなの気にして無いよ、藍澤と一分一秒長く居たいからね」


―――もうやだ。

二人だけでこれだ、こういうのがあと四人居るんだぜ?

あと赤司、そういう発言止めて。

俺は一分一秒でも早くお前等と離れたいんだ。

ベタベタして気持ち悪い。

そんな事を思っていれば、嗚呼、また来たか......。


「あー!!ちょっ、二人共何してんスかぁ!!!ズルいっス、ズルいっス!!」


「煩いのだよ、黄瀬。......お前等も、一体何をしている」


―――これまた厄介なのが二人増えた。

此方もレギュラーメンバー、犬(黄瀬)とおは朝信者(緑間)だ。

あ、紫原。

「藍ちん柔らかいよ〜」とか言ってんじゃない。

対抗心からなのか、赤司も絡める腕の力を強めた。

そうすれば、黄瀬は俺の右隣に、緑間は赤司の隣に。

おい、何でお前等までくっ付いてきてんだ。

暑苦しいんだってば、本当に。

黄瀬、腕を組まないで欲しいんだが。

緑間、手を取って、何をする気だい?

―――もうここまで来れば、御解りだろう。


「うわ、何くっ付いてんだよ、暑苦しくねーの?」

「僕達を差し置いて、何をしているんですか......? 」


残すは青峰と黒子のみ―――。

そう思っていれば、やっぱり来たか。

二人は俺等を暫く見詰めていると、やがて青峰は黄瀬の隣に、黒子は俺の脚の間に。

何と不思議な光景だろうか。

そしてもう一度言っておくが、練習後で皆汗まみれ。

さらに密着している為、とても、かなり暑苦しい。

そんな中、俺は六人の男と密着しているのだ。

軽く意識が飛びそうだった。

でも、本当にしんどいのはここからだ。

黒子は俺の両頬に手を添えて、こう言ったのだった。


「...藍澤さん、好き、大好きです。大好き、愛してます...!僕はこんなにも貴女だけを愛しているというのに...どうしてなんですか......何で何でどうして!?僕の心を弄んでいるんですか!?...いえ、すみません、貴女に限ってそんなこと無いですよね!無いですもんね!僕の考え過ぎなんですよね!?まぁ兎に角、僕は誰よりも貴女が好きなんです!すきですきですきですきですきですきで堪らないんです!それほどにも貴女を愛しているんですよ!?......ねぇ藍澤さん、僕のものになりませんか?断るのなら貴女を監禁したって良いんです...、魅愛さん、貴女の為なら何でもします。だから」


黒子の言葉を皮切りに、他の五人も一斉に俺への『愛言葉』とやらを発し始める。

俺はそれに耳を傾けつつ、大袈裟に溜め息を吐いた。

部活仲間は、ヤンデレでした。
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